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Underdog


「待ってよヒロローン!」

亮が誰かに呼び掛けているようだ。
俺のことじゃないのでもちろん振り返ったりしない。

「無視するの? ひどいな〜」

これは無視じゃない。
「あらあらそこのこぶたさん」と呼ばれても誰も振り返らないのと同じだ。
もしかしたら一部の特殊な嗜好を持った方々は嬉々として振り返っちゃうかもしれないけど。

「うー、加嶋裕巳くん、裕巳さん? ヒロくん? ヒロくーん、ヒロくんやーい」
「――っ、何だよ、もう!」

おばあちゃんが孫を呼ぶように言うなっての!
根負けして立ち止まる。満面の笑みを浮かべた亮がすぐ隣に駆け寄ってきた。

「あのさ、ちょっとだけ寄り道しない?」





結局行き着く先は飲み屋なわけで。
まぁ確かに、あの憂鬱きわまりない真吾の裏切り発言をうけたまま、まっすぐ家に帰る気にはまったくなれなかったけどさ。


「そういえば、亮ってお酒強いの?」
「さぁ……基本的に記憶飛んでるからな〜」
「それがデフォルトってヤバくない?」

変な人について行ったりしてなきゃいいけど。

「ちなみに、ヒロくんはボーカルやるの?」
「んー、そのつもりだけど……」

真吾は歌は専門外だって言ってたから、パートを代わられることはない。
いやまて、もしかしたらボーカロイドって線もあるか……。

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あきゅろす。
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