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Underdog


「ほな、メモリは貸しとくわ。テキトーにコピーでもせぇ」

俺にメモリを放り投げると、真吾はスタジオを出ていった。
赤磐さんも「おっと急用が」とうそぶき去っていく。
かなり嘘くさいけど、問いただしてやる義理もない。



「あの野郎……」

ハルの唸り声は、地底から沸き上がるマグマを連想させた。
怒りももっともだ。
仲間だと思ってたのに、裏切られた気分。
家にだって行ったりして、仲良くなったと思ってたのに。
ショックの大きさは俺の方が大きいはずなのだが、ハルの怒り方を見てると自分なんてまだまだなんじゃないかと思えてくる。

「あ、対バン見てよ」

さっさと気持ちを入れ替えていた亮がチラシを指差した。

「結構本気のライブじゃん!」
「このメンツとやるのか……」

秋栄の眉間のシワが深くなった。
インディーズでそれなりの地位を築き始めているかなりホットなバンドが揃っている。
集客面では文句なしってわけだ。
どんなツテで俺達をこの中に割り込ませたんだろう。

「――まぁ、こんな大舞台で恥かくのもやだし」

ため息混じりの独り言に、秋栄が肩を竦めて答えた。

「練習あるのみ、だな」

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