Underdog
3
さっぱり分からない。
真吾が何を考えてるのか。
曲作りの権利を得たのも全部、これを仕掛けるためだった?
それともほかに真意がある……?
スタジオはまたも険悪ムードに逆戻りした。
まがりなりにも、このメンバーでやっていこうって動き出したばっかりだってのに。
「ちなみに、ライブの詳細はこれね。一応『シークレットバンド』って呼び込みになってるから」
ガラッと声色を変えた赤磐さんがライブのチラシを配るが、誰ひとり積極的に貰おうとはしない。
「3日前辺りに一度出来栄えを見せてもらうよ。あまりにひどい演奏ならライブは辞退、このプロジェクトも解散させるからそのつもりでね」
まったく痺れる悪役っぷりだ。
「俺達に選択肢はないってことかよ」
「選択肢なら最初にあげたはずだよ。音楽をやりたいかやりたくないか、ってね」
ハルの文句はあっさりとかわされた。
淡々とパソコンを片付けている真吾に、かける言葉を見つけられなかった。
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