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Underdog
11
「行く! どこっ?」

「そこ出て廊下をずっと行った突き当たり」

「サンキュー」

転げるように走りトイレを目指した。
廊下が予想以上に長くて庭がやたら手入れのされた日本庭園であることを除けばごく普通の一軒家だ。

あともう一つ。
トイレがボットン便所であることを除けば。



「お前ん家ってなんなの!?」
「ごく普通のサラリーマン家庭やんか」
「こんな古きよき昭和の香り漂う一戸建てに、ごく普通のサラリーマンが住む?」
「あぁ、この家は親戚の。家主が留守の間格安で住まわせてもらってんねん」
「親戚……」

なるほど、少し納得。
いや待て。

「親戚でも凄くない?」

「ないない。――ま、あれやな」

真吾は鼻の下をかいて目をそらす。

「広いのは確かやし、来たかったら来たらええし」

「――へ?」


つい間抜けな声をあげる。

「遊びに来いってことや」

真吾は、今度は俺の顔をしっかり見て男臭く笑った。

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