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Underdog
10

パソコンを操作し、何かの譜面がモニターに現れた。
再生、とかかれたボタンをクリックする。

耳を澄ませて待つ。

音は唐突に流れ込んできた。
軽快なアップテンポ。
疾走感があるのに、ひとつひとつの音に説得力がある。しっかりしてる。
心を揺さぶられる。

ぞく、と鳥肌が立った。
感動とか興奮とか、ありとあらゆる感情が体を駆け巡って言葉が出ない。

電子的に作られた音でバンドの各パートを再現している。
これ、生でやったらヤバいんじゃない?



「――どぉ?」
「鳥肌立った」

いろんな楽器が得意だったのは、こうやって一人で作曲してたからかもしれない。
ただのいけ好かない関西弁だと思っててごめん。


「早くみんなに聞かせようよ!」
「せやなぁ……」

歯切れ悪く言葉を泳がせている。
フッと目が合った。
何かすがるような視線に見えたのは一瞬で。

「……ええの?」
「いいに決まってるじゃん! 早くみんなで演(や)りたいよ」
「そうやのうて……トイレ、行かへんの?」


完っ全に忘れてた。

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あきゅろす。
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