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Underdog

「一応俺からはヒロの無事は伝えたったけど、ヒロからもイワさんに連絡付けときぃや」
「うん、サンキュー。……っていうかイワさんって……」

幽霊じゃあるまいし。




「……ちなみにトイレどこ?」
実は起きた瞬間から頭の中で警鐘が鳴っていた。
返事を待たず、近くにあったふすまを開ける。

「あ、そこは……」

制止の声もなんのその。
俺はそこに広がる景色に目を奪われていた。




秘密本部が、ある。



ぱっと見そんな印象だ。
薄暗い空間に爛々と輝く3つのモニター。
ごうごうと低い音を立ててるのはパソコンの本体だろう。
ごちゃごちゃとした配線が部屋の隅を走り、キーボードやキーボード――鍵盤の方――と繋がっている。
一番手前に転がってるのはヘッドフォンだ。


「もしかしてここで曲作ってる?」

もしかしなくてもそうだよな。
俺がグースカ寝てる間も隣の部屋で作業してたんだ。
畳の部屋にメカニックというギャップがなんかいい。


「すげぇカッコイイ……」

「大したことないわアホ」

真吾はしきりに鼻の下を擦っている。照れてるな。

「もうあの曲出来てたりする?」
「あぁ、『へたれ』な」
「その名前やめろよ……」

真吾は秘密基地本部の司令官の席に座ると、ヘッドフォンを俺に突き出した。

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あきゅろす。
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