Underdog
7
「――1人でうだうだしてても大して浮かばへんやろ」
ざわついた店内でも、真吾の低い声は不思議と耳に心地好く届いた。
「まぁな。予想以上に何も出来ないっつーか」
「そこで、や。俺の書いたやつをパクることを許可したる!」
ビシッと箸をこっちに向けた。
「……そんな自信満々に言われても。瞳がスタンガンだろ?」
「あんなんでも、なんかネタがあった方がいじりやすいやん」
「それは確かに」
もしかして、こいつそのこと言うためにわざわざ飯に呼んだのか?
歌詞作りを一人に丸投げした罪悪感とか。
「なんだかんだで、お前って良いやつだな」
「なんやねん急に」
「よくみたら男らしいし」
「よく見なきゃ気付けへんの!?」
「あと多分髭が似合いそう」
「ま、ヒロよりは似合うやろな」
「あと何でも弾ける」
「大して凄くないわ」
「謙虚?」
「あほか。……って、ヒロ大丈夫か? 何杯飲んだん?」
真吾の声がひどく遠くから聞こえる。
――ごめんなさいお母さん。
俺はまたお酒で失敗したようです。
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