Underdog
5
「20分も遅れてきて何ほざいてんだよ」
手負いの獣もとい来生がすぐに噛み付いた。
つーかさっき俺が使った手じゃん。予想以上に効いたみたいね。
「遅れたんは謝るわ。得意な楽器絞り込めなかってん。誰か、ドア持っててくれへん?」
大河内真吾がギターを背負ってるのは見えた。が、他にも伏兵がいた。
「ギターはエレキとアコースティック。ほんでトロンボーンにキーボードな。そっちはハーモニカと……」
台車を押して来てたなんて誰が予想できたか。店でも開けそうな勢いで、スタジオを大河内の荷物が埋めていく。
「……全部得意なの?」
ちょっと目が覚めたっぽい大鳥が聞く。
「当たり前や」
肩を竦めて、大河内は一つずつ持ってきた楽器を演奏しだした。
どうしよう……うまい。
テクニックがハンパない。
多少かじってます程度かと思ってたのに…はったりじゃなかったんだな。
しまいには、大鳥を退かしてドラムを叩き、秋栄のギターを借りて鳴らしてみせた。
「どうや?」
勝ち誇った笑みが、非常にムカつく。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!