Underdog
1
俺の両隣には、えらい美形が座っている。
右隣りは、メガネをかけたちょっとインテリな雰囲気。
左隣りは、短めの髪をクールに遊ばせたややビジュアル寄りなイケメンだ。
「あの……これからよろしく」
間に座る前に、軽く挨拶してみた。が、
「……」
「……ちっ」
無言&舌打ちときましたか。
おかーさーん、この人たち協調性ない!皆無よ!
それならこっちだってとるべき態度ってもんがある。
二人の間にあるパイプ椅子にどかっと座ると、無言で足を組んだ。
周りと打ち解けようなんて柄にもないことをしようとしたのが間違いだったな。
始まるまでまだ時間がある。
かばんから一枚の紙を取り出した。
『株式会社オルウッド
入社式日程』
そのA4サイズの紙には、今日一日の予定が書かれている。
9時半の開式の言葉から、17時半の親睦会後片付けまでびっしり予定が詰まっている。
つい昨日までスケジュールとは無縁の暮らしをしていた身では、なかなか辛い。想像しただけでどっと疲れがあふれる。
これからは、満員電車に揺られて通勤する生活が待ってるんだろう。
この程度で嫌になってちゃだめだよな。
だって俺は決めたんだ。
この場所で生きていくって。
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