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美月さんから水空


 白い砂浜、蒼い海。さくりと、裸足で踏みしめる砂は暖かい。


【Heaven】


「…あったけー」

 砂に触れている足の裏だけじゃなくて、空気そのものが暖かい。

「…当然か」

 ここは、オレ達の住んでる街じゃない。

 ここは…


――沖縄だ。


 リビングのソファーに、並んで腰掛けていたのはつい二日前だった筈。

 寒い寒いと文句を言うオレに、水都は「そうか」と言った。それも新聞を読みながら、こちらを見ようともしない。

 ムカついた。

 もうちょっと、言い方ってものがあるだろ! 勢いにまかせて立ち上がった。あんまりにも頭にきたから、わざとデカい音を立ててリビングのドアを閉めて…

「なんでオレ達は沖縄にいるんだ…」

「寒いのが嫌なんだろう?」

 だからって、なんでこんな展開になるんだよッ!

 悠然と煙草をふかす水都をじろりと睨む。だけど、返ってきたのは壮絶な色気を纏った流し目で…

「可愛い恋人のリクエストを叶えてやっただけだ」

「……あほか」

 ふいと顔を逸らせた。くく…っと水都が笑っている。ちくしょう…熱くなる頬をごしごし擦った。

「…で、その恋人を満足させるプランは完璧なんだろうな」

「当然だな」

 余裕の態度がムカつくけど、仕方ないから振り向いてやる。


 花の香り、潮の香り…そして、嗅ぎ慣れた煙草の香り。


 波の音を聞きながら、オレは水都に向かって手を伸ばす。

「お手並み拝見…だぜ?」

 オレの台詞に、水都は目を細めて笑った。



「臨むところだ」



 取られた手。絡む指。さくり、さくりと足元で鳴る砂の音。

 せっかくだから、楽しんでやる。冷たくて、暖かい恋人と…


――常夏の冬を。



END




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沖縄旅行のときに撮った海辺の写メを美月さんに送ったら、こんな素敵な甘水空が…ありがとうございます!!(感激)

よぉーし、次はどこにしようかしら(笑)


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あきゅろす。
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