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チョコレート(ニール総受)
※現代パロ
ほのぼのギャグ




今日はライル、刹那、ティエリア、アレルヤ、ハレルヤと出かける日。

「おはよう、兄さん」
「…おはよう。今日はどうしたんだ?」
「ん?何が?」
「いや、こんな早くから起きてるから」

ライルが朝早くから起きているのは珍しい。
いつもあと5分だの何だの言って、目覚ましなど無視して寝ているのに。
そして、結局ニールが起こしに来るのだ。
それが今日はニールよりも早く起きて、しかも支度も終えている状態。

「今日は俺が朝飯作ろうと思ってさ」

そんなに驚かなくてもと苦笑しながらライルは答える。
早く起きた理由はまた別のもあるが、これも1つの理由だ。

(今日はバレンタインだから)

実は楽しみで目が覚めたのが本音だったりする。
そんな中、ニールは朝食を弟が作ってくれるということが楽しみでライルの本音には全く気付いていなかった。

*

待ち合わせ場所。
時間は15分前、のはず。
なのに、刹那にティエリア、アレルヤ、ハレルヤの4人はすでに揃っている。

「早いな。どうしたんだ、まだ15分前だぜ?」
「い、いえ…」
「それは、その…」

不思議そうに尋ねるニールに顔を赤くしながら口ごもるティエリアとアレルヤ。
完全にそっぽを向いているハレルヤ。
じっと見つめてくる刹那。

(チョコが欲しいなんて言えない…)

今日はバレンタイン。そんな日にニールと会うのだから、チョコレートを貰えるかもしれないと期待して思わず、待ち合わせ場所に早く来てしまった。
それは4人とも同じ考えで。
ニールにあげる分も持ってきているのだが、あげにくい。
そんな子供みたいな考えを本人に言えるはずもなく。

(…?)

皆の心境を全く理解出来ていないニールは首を傾げていた。
そんな時、ニールを呼ぶ声が聞こえた。

「姫!」

声の主に全員、げっという顔をする。
ニールのことを姫と呼ぶのは一人しかいない、グラハムだ。
ライル曰くニールのストーカーである。

「おはよう、今日も君は美しい」

毎回会う時のお決まりのセリフにニールは引き攣った笑みを浮かべる。

「今日はバレンタイン。私の愛を受け取って欲しい!」

とグラハムに箱を手渡される。

「そして君の愛を受け取りに来た!!」

ここにいる全員が言えなかった言葉を―グラハムのはかなり屈折した言い方であるが―こんなにあっさりと声高らかに言った。
そしてニールにさあ、と手を差し出してくるグラハムに5人がキレた。

「武力介入…!」

ハレルヤの言葉を合図に全員がグラハムに向かっていく。
すぐに反応して避けようとしたグラハムだが、後ろから蹴りがクリーンヒットした。

「いつもごめんね…」

申し訳なさそうに謝るのはビリー・カタギリ。
どうやらグラハムを探しに来たらしい。
いつもビリーには助けられている。

「グラハム、行くよ」
「ひ、姫!」

必死なグラハムがなんだか哀れに思う。
はぁ、とニールは溜め息をついて自分の鞄の中から綺麗な箱を出してくる。
そしてそれを投げる。
上手くキャッチしたグラハムは一瞬きょとんとしたがすぐにきらきらと笑顔になった。

「ニール、ありがとう!!」

私は嬉しいと叫ぶグラハムに苦笑する。
他の5人はといえば呆然とニールを見つめるだけ。

「行くよ」

そしてニール、ニールと叫び続けるグラハムはビリーに連れられて行ってしまった。


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