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二人だけの誕生日(ライニル)
「兄さん!」
「うわぁ?!」
突然後ろからライルに抱きつかれて、流石にニールは驚く。
気配を消して急に抱きつくなと少し怒って文句を言ってやるが、ライルはなぜか上機嫌で効果はなく。それにムッとしつつも、強く言えないのはやはりライルに甘いからだろうか。
「ライル…どうしたんだよ?」
「どうしたんだよって、今日は何の日か覚えてないのか?」
質問を質問で返すなと思いながら、今日は何かあっただろうかと首を傾げる。
そうやって悩んでいる間にライルの機嫌がどんどん急下降していくのが分かって、ニールは焦り出す。そんな折、カレンダーが目について。
「…誕生日」
そう言うとライルは呆れた顔をした。
「ニールは自分のことには本当に無頓着なんだから」
今日は3月3日。二人の誕生日だ。
ニールがそれを忘れていたのが不満だったらしいライルは膨れっ面をした。
そんなライルにごめんなとキスをした。
「仕方ないなぁ」
ニールからのキスにあっさりと機嫌を直したライルは、これプレゼントとラッピングされた小さな箱を取り出してきた。
「ありがとう。俺のもあるから、ちょっと待って」
「忘れてたのにプレゼントはあるんだ」
「プレゼントは事前に買ってたんだよ。
でも誕生日はまだ先だと思ってたから…忘れてたんだ」
だから本当に忘れてたわけじゃないからな、とまだ気にしているライルに言ってから、鞄の中の小箱を取り出す。
「そっか、ごめん…」
「大切な日なんだから、本当に忘れるわけないだろ?…はい」
「ありがとう、ニール」
ライルはそう言って幸せそうに微笑み、ニールも同じように微笑んだ。
それから互いにプレゼントを開けてみる。中身は翡翠色のピアス、二人とも全く同じ物だった。
「ぷっ…あははっ…やっぱり同じ」
「ははっ…もう何回目だ?」
「昔からずっとだから…」
毎年誕生日は互いにプレゼントを交換していた。そして昔からずっと、プレゼントは互いに同じ物を買っていて、去年はリング、一昨年はコート、その前は財布…と言い出したらキリがないくらい沢山ある。
今年もかと二人顔を見合わせて笑った。
「別々に買い物して選ぶのになんで被るんだろうな」
「考えることは同じ、ってことなんだろ?
俺は嬉しいよ。ニールとお揃いだし」
嬉しそうにライルは言って、ピアスを取り出してニールの両耳に付けた。
そして自分も付けようとしたのだが。
「俺が付ける」
と今度はニールがライルの耳にピアスを付けた。
「似合うよ、ライル」
「ニールこそ、綺麗」
「あのなぁ…綺麗とか言うな」
「本当のことだもん」
「だもんってなんだよ、その口調は」
文句を言いながらもニールは幸せそうな表情をしていて、ライルも同じだった。
「ニール」
名前を呼んで、そっと腰を抱いてこちらに引き寄せる。互いに見つめ合い、顔を近付けた時だった。
「あ、ちょっと待って」
「何だよ、いいとこなのに」
いい雰囲気でキスをする直前だったのに、それを阻まれたことにムッとする。
そんなライルに気付かずにニールは窓を指差した。
「窓の外、見て見ろよ」
「?あ、雪…」
窓の外は雪景色。
はらはらと舞い落ちる雪はまるで花のように美しく、見とれてしまう。
「どうりで冷えるはずだよ。…でも、綺麗だな」
「うん、ロマンチックな感じ」
「ははっ、そうだな」
「…じゃあ俺達も」
その言葉を合図に二人は抱き合い、キスを交わした。
「愛してるよ」
二人だけのWhiteBirthday
ニール、ライル、HappyBirthday!!
ぐだくだですみませ…
2009.3.3
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