第三の国
あけびとエメンタール
side エメンタール
俺は焦っていた。
あの一件から二週間がすぎても、ゴーダの行方はわからないままだった。
情報屋たちも高砂信者や医療班の動きを嗅ぎ回ってあれこれ手を尽くしてゴーダを探してくれていたが、ロックフォールのもとに届く匿名の知らせの中に俺の望む答えはなかった。
出来ることなら俺もゴーダを探したい。何も出来ないまま時間だけが経過していくのが、悔しくて仕方ない。
だけど。
『……チェ……ダ……たの……む』
最後の力を振りしぼり、あの日ゴーダが俺に託した想いが消えることはない。
体が二つ欲しい。
ひとつはチェダーの側にいるため、そしてもう一つは……ゴーダを探すために。
ああ、焦れる。
焦れる。
どうしようもなく。
何も出来ないことに。
無力な自分に。
ゴーダの無事を信じて、あけびの報告をただ待つしかないことに。
うだるような暑さは少し和らいだが、リコッタはまだ暑さが残る。作業をしていても額からは汗が流れ落ちた。
そして一日が終われば、いつものようにチェダーと飯を食べて広間を出る。
衣擦れの音と共に、背後から声をかけられた。
「お待ちなさい。あなた方」
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