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●冬仕舞 [土銀]
土銀で性的表現アリです。
義務教育終わってない方の閲覧は禁止します。









暦の上では春も過ぎて。
日差しは日に日に強さを増し、南からの風も暖かい。


しかしその和室には、未だ炬燵が鎮座していた。




    +冬仕舞+




「お前よぉ…」


呼鈴を鳴らしても誰も出て来ず、引き戸に手をかけると無用心にも鍵も掛かっていない。
やれやれと、勝手に上がり込んだ。

廊下の先の応接間から襖一枚向こうの和室に奴はいた。


「昼間っからだらけてんのは今更だけどよ…」
「何勝手に上がって来てんだよ 不法侵入ですよお巡りさん」

今は制服ではないのだが、俺を見るなりそう言って。
此所の主である万事屋は、腹這いに寝転がったまま億劫そうに顔を上げた。

「ちゃんと呼鈴は鳴らしたぞ 居るのに出てこねぇテメェが悪い」
「本当に誰も居なかったらどうすんだよ」
「お前が居るかどうかくれぇ分からぁ」
「何それ ストーカーセンサー的な?キモッ」

ちょっとムカッときて肩を軽く蹴る。
次の瞬間、腕で足払いをかまされ畳に転がされた。

「痛って… テメェやりやがったな」
「土方君のキモ発言につい手がでたんですー」
そう言って ふん とこちらに背を向ける。


「ったく つーかお前コレ」
万事屋の寝そべる先、まだ出しっぱなしの炬燵に手を置く。
「いい加減片さねぇのか?」
「まだ夜とか寒いんだよ いいだろ別に」
もぞもぞと首まで潜りこむのを見て
「暑くねぇのか?」
ひょいと布団を上げてみる。
ヒーターの赤い光が漏れる筈が、そうではなく中は真っ暗だ。

「電源は?」
「昼間はいらねぇから切ってある」
「それって意味あるのか?」
「あるんだよ これが丁度いいんだよ」

だらけ方にも一応の拘りがあるらしい。
とりあえず座ろうとしたが、炬燵に足を入れる気にはなれず、その前に胡座をかいた。
裸足に触れる布団がひんやりしている。



「で ご用件は?」

炬燵に潜ったまま万事屋が此方を向いた。

「…用って程じゃねぇよ」
ちょっと立ち寄った程度なのだ。

「何?暇なの?」
「たまたまな 午後から非番だから飲みにでもいこうかと思ったんだが」
「奢りかぁ さんきゅー」

全部言い切る前に体を起こしてきた。

「だらだらするのはもういいのか?」
「起きててもだらだらは出来るし〜 お茶でも…」

万事屋がポットを引き寄せ急須に湯を注ぎ始めた直後、ズゴゴッと音がした。

「あり?空っぽ…」

湯が切れてしまい、万事屋はしぶしぶというように炬燵から出て立ち上がると台所へ向かう。
カチカチとガスコンロを点ける音がして、程なく戻ってきた。

「火点けてんのに離れて平気か?」
「直ぐにゃ沸かねぇし 大体時間でわかるし」
「そんなもんなのか?」

屯所暮らしだと生活の世話は他の者に任せきりなので、そんなことにもつい感心してしまいそうになる。
家庭的というか所帯染みてるというか。
…ただまぁ、そんな様子から伝説の攘夷志士とやらの面影は感じられないなとぼんやり思った。


ふいと窓を見ると、空は雲一つなく。
未だ冬支度の残る部屋から見上げるといささか不釣り合いに感じる。



「そろそろ見てくるか」

湯の沸く頃と気付いて万事屋が立ち上がった。
和室に一人残されるのもつまらなくて、何となくついていく。



「そんな見に来なくたってちゃんとオメーの分も用意するから待ってろよ」
「別にいいだろ」

ガス台の前に立つ万事屋の、腰に後ろから腕を回す。
布越しに伝わる温もりが嬉しい。

「…寂しがりやですか〜 寒いよ土方君」
「なんとでも言え」

そっと耳元に寄って、耳たぶを甘噛みすると万事屋が小さく震える。
つい面白くなってべろりと舐めあげた。

「んっ… おいっ」


抗議の声は無視して。
小さく ちゅ と音を立てて吸う。
腕の中でひくっと体が跳ねた。






じゅじゅ――――


その時
薬缶から沸騰した湯が溢れた。
ごすっ と腹を肘でどつかれ、仕方なく腕を放す。

「あーあ ったく」

火を止め、ぶつぶつ言いながら万事屋がポットに湯を注ぎ始める。
ちらりと此方を見て
「先座ってろよ」
そう言われ、渋々和室に戻った。





和室にて、ふたたび炬燵を囲んで出されたお茶を啜る。
一息ついて、ふと これじゃジジィの茶飲み友達みたいだなどど思って軽く凹む。

「なぁ…」

俺らよぉ…
問おうとして、止めた。
…更に凹まされそうだ。

当の万事屋はまたごろごろしている。


「…万事屋」
「茶菓子はねぇぞ」
「そうじゃねーよ …その」

手持ちぶさたに炬燵の中へ足を伸ばしてみる。
ひんやりしたその中で、温かい感触。
万事屋の足とぶつかった。


「……」


ちょっとからかってやろうと、親趾で裸足のそれを擽ってみる。
すぃと足が退く。
更に足を伸ばして擽る。
足が退く。
つい何度か繰り返すと、じろりと睨まれた。

「やーめーろーやアホ土方」
「なんだ?」
「なんだじゃねぇよ」

そう言って足を蹴られる。

「擽ってぇんだよ」
「そりゃ擽ってんだからな」
「……」

むすっとして向こうをむいてしまった。
…体ごと向いたら足届かねぇよ。
面白くないので炬燵を出て隣に入り込む。

「…なんなのさっきから」
「別に?」

せっかく傍にいるのだから 触れたい。


素面だとあまりべたべた触れる事を好まない万事屋の、くりくりの髪を軽く撫でる。
猫っ毛を鋤いて、指で遊びながら。

「なぁ万事屋」
「何?」
「しねぇか?」

ストレートに言ってみる。


「…飲み行くんじゃねぇの?」
顔だけ振り向き、あからさまに怪訝な顔を返される。
「まだ時間あるじゃねぇか」
「まだ明るい内ですよお巡りさん」

別に構わねぇだろうと言う代わりにさっき台所で弄っていた耳朶に口づける。
ぴくりと体をすくませる万事屋に
「さっきので中途半端になっちまってるだろ?」
「…っ そもそもはてめぇが…」
強引に口づける。
あぁ、もう駄目だ。


触りたい――



舌を入れ、口内をなぞる。
応えるように万事屋が口を開け、そのまま更に深く口づける。
部屋にちゅくちゅくと婬猥な音が響く。

「ん… ふ 」

聞こえる鼻に抜ける声に目の奥が熱くなる。

「…なぁ」
体を密着させて、主張する下半身を押し付けると
「…なんでそんな元気なの?」
悪態を吐かれるが、その瞳は既に熱を帯びていて。
何かが背中にざわりと走る。
「何でだかな」

ほぼお前のせいだとかは言わないでおく。
耳から首筋に口づけて。
インナーに手をかけると万事屋がやんわりと手で制止した。

「ココですんの?」
「嫌か?」
「…炬燵が汚れる」
「ならついでに綺麗に洗って仕舞っちまえ」
「だからまだ使うっての」
「アホか もう夏の方が違ぇぞ そんな寒いなら…」


…更にアホな科白が、出掛けて固まる。


「…俺が温めてやるとか言っちゃう?」

…図星。
うーゎ寒っ と笑われて腹が立つのと気恥ずかしさに項垂れる。


「そりゃいいや」
まだくすくすと笑いながら
「せいぜいあったかくしてくれや」

耳許で囁く吐息の熱さに腰が疼く。

「…あぁ」



首筋に吸い付き服の前を開いて、手を滑り込ませる。
柔らかくはないが滑らかな白い肌を撫でると、万事屋が小さく息を詰めた。

組み敷いて胸の突起を舐る。

「んっ」

抑えきれず漏らす声をもっと聞きたいと、甘噛みし、もう片方を指で摘まんだり引っ掻いたりしてやる。
すぐに蕩けた声が聞こえてきた。

「あ も…ソコばっか ゃ」
「なんだ?」

そろそろと服の上から下半身をなぞる。
充分に勃ちあがり主張する中心には触らず、内股を撫で尻を掴む。

「…焦ら…な よ」
「堪え性がねぇなぁ」

わざとゆっくりズボンの前を寛げ、取り出した。
先端からは透明な汁が溢れている。
親指でそれを塗り広げるように擦ると、小さく高い鳴き声。
その声が頭ン中を揺さぶる様でくらくらする。



「…銀時…」

小さく名を呼び、先端に口づけてから咥える。
じゅるじゅると音を立て、根元まで口に含み吸い上げると
「だっ …ぁ」
引き剥がそうと俺の頭を押してくる手を掴む。
「駄目じゃねぇだろ?」

逃げる腰を追って口を動かす。

「も…ぁ イっ…」

びくりと痙攣した銀時が白濁を放った。
口の中に独特の苦味が広がる。

「ばかやろ…早く出せ」
言われる前に飲み込んでしまう。
こくり と喉の動くのを見て、
「…っ おま…」
銀時の耳がピンクに染まった。

「なんだ?」

わざとらしく口の端を指で拭い、そのまま咥えて唾液を絡ませる。
銀時を膝に座らせ、既にひくひくし始めている秘所へ濡らした指をあてがう。


「力抜けよ」

そのままゆっくり中へ進めると、熱く内壁が絡んでくる。

「ふ…ぅん」
「ほら もっと足ひらけ」

更に指を進め、中を拡げるように動かす。
徐々に解れて、甘く濡れた声がひっきりなしに上がりだした。


「…ん もぅ…」


銀時が手を伸ばし、張り詰めた俺の中心に触れてくる。
中を弄っていた指をを抜いてやると、着物の合わせを開き自身を取り出された。
熱に浮いた眼で見つめられ擦られ、腰が重く痺れた。


「うゎ ガチガチ …挿れてぇの?」

上目遣いに聞いてくる。
何か言い返してやろうと思ったが
「…あぁよ」
余裕なんてない。

「んっ… ゆっくり…」

向かい合い、座ったまま銀時が腰を落としていく。
少しずつ飲み込んでいく姿を眺めていると

「… 全部 入った」
上気した顔を上げた。

「あぁ」

ふ と大きく息を吐くのを見て、下から突き上げた。

「――っあ てめっ…」
「奥まで 悦いだろ?」

強く突き上げ揺さぶる。
首にしがみつきながらも腰を揺らす仕草に、うっとりと首筋へキスを落とす。

「っ… あっ… は」

ひっきりなしに上がる声はまだ押し殺していて

「…なぁ」

しがみつく腕を外して、挿れたまま、後ろから抱き抱えるように向こうを向かせた。

「うわ…抜けそ」
「平気だ ろ」

入り口まで抜けかけたのを、一気に奥まで突き上げた。

「――っ あっ」

刺激に背を反らし銀時がびくりと痙攣する。
同時に強く締め付けられ…此方ももう限界がちらつく。


「…動くぞ」

腰を掴んで下から突き上げる。
その動きに合わせる様に、銀時が炬燵に手を着き腰を振る。

絶頂が近付き、動きが速まる。
パシリ と視界に火花が散った。


「はっ… ぁ も…」

小さく震えて、銀時が白濁を吐き出す。
殆ど同時に、最奥で熱を放った。








ゴウンゴウンとくぐもった音が聞こえてくる。
そして左頬がじんじんとする。



結局。
汚してしまったので炬燵布団は片付ける事になった。
現在洗濯機が稼働中。
そして、少々やり過ぎてしまった俺は平手打ちを喰らったわけで。


洗濯機の音が変わりはじめ、万事屋が戻ってきた。

「脱水終わったら暫く干して… 明日また干しときゃ何とかなるか」
「…なら明日洗濯すりゃ良かったんじゃ」
「ガキ共居んのに明日までアレをどうしておくと?え?」

目が笑ってない笑みを浮かべて。
情事の痕跡の残る炬燵布団をそのままに出来るかと。
まぁ…それもそうだ。

「ほれ テメェも」

呆れた顔をしながら、万事屋が手招く。

「あ?」
「飲み行くんだろ?…ソレ」

左頬を指差される。

「そんな平手痕残してちゃ何処でナニ言われっか分からねぇからな」
ごそごそと救急箱を出して
「早くツラ貸せ」
言われて、大人しくされるがままにする。

「よっし こんなもんか」

痕を隠した絆創膏の上から軽く叩かれ。

「洗濯済んだら行こうぜ いい時間だろ」

少しだけ ふ と笑って立ち上がった万事屋に、高鳴った鼓動は落ち着かせて。
聞こえる洗濯機の音の止むのを待つことにした。





xxx






炬燵話でした。(今頃感満載)
久しぶりのUPになりまして…ホントはもう少し前の時期に書き上げる予定がずるずる…精進。
いつもより長めな話になりました。


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