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▼Text
○白の薔薇 [白正]


   +白の薔薇。+


「正チャン」
「はい?」
「正チャ〜ン」
「だから何なんですか」


さっきからこんなやりとりが続いていた。


「正チャ…」
「だーかーらーっ」
ばんっ と机を叩いて、正一が立ち上がる。
苛立ちからか少し頬が紅い。


ミルフィオーレイタリア本部のビルの一室。
日本から来た入江正一に与えられた部屋での事だ。


「さっきから何なんですか?一応僕だって仕事して…」
「やっとコッチ向いたね」


いつも笑っているような眼を一層細めて、ミルフィオーレのボス・白蘭が笑った。


「…は?」
ワケが分からないという顔をして、正一が白蘭の顔を見る。

「だって正チャン 返事はするけどディスプレイから目を離さないんだもん」
頬杖をついて白蘭は にこにこと正一に向かい合う。

「…だから 僕はあなたが与えた仕事をしてるんですよ」
「正チャンにとったら難しい仕事じゃないと思うけど」
「そういう問題じゃなくて…」


はぁ この人は…
うなだれる正一に


「ねぇ?今日何の日か覚えてる?」
白蘭が聞いた。

「…は?」

フフッと白蘭は笑う。

「当ててみてよ 忘れちゃった?」

不意にそんな事を言われて、正一が手を止めた。
うぅ と考え込む。

「…何か約束事でも」
「ん〜惜しい」

立ち上がった白蘭が正一の手をとった。

「今日はね」

その手の甲に触れるだけのキス。


「正チャンとファミリーになった日だよ」



そしてにんまりと笑った。


「あ…」


忙しくて忘れていた。
この人が 僕を必要としてくれた日。

「ね 正チャン」

逸らせない瞳が正一を捕えた。


「ごめんなさい…僕」
あなたが 必要としてくれてあんなに嬉しかったのに。


「何で謝るの?正チャンはちゃんとここにいてくれるのに」

フフフと白蘭がいつもの笑いを見せた。


そう言ってドアに向かう。

「…白蘭サンっ」

正一も立ち上がっていた。


「あの…」
「もう邪魔しないって ボクも仕事しなきゃ」

振り返った白蘭が

「あ でも夜までに仕事終わらせてね 一緒に食事に行こうよ」

そうして 部屋から出て行った。


「あ…」

残された正一は 椅子に腰掛けた。

「はぁ…」


苛立ちではなく 更に紅く染まった頬を両手で包む。

「もぅ…―〜っ」





再びディスプレイに向かい キーボードを叩きはじめる。

花束 用意した方がいいかな
とか
着て行くものあったかな…
そんなことばかりが頭を過ぎる。


「…コレ終わらなかったら 白蘭サンのせいだ」


ぽつりと一言零した。





xxx





初白正(正白?)でした。
白蘭サマに上手く遊ばれてる正チャンになってたらいいなと。

ちなみに白薔薇の花言葉は"あなたが必要"

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