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○Warking [山獄]
山獄数年後話。
お仕事に出掛けた二人。











    +Warking+

夜の闇の中。
黒塗りの高級車が似つかわしくない細い路地を走っていた。


「なんでオレらが外回りなんか…」
煙草を噴かしながらハンドルを切る。
「いいじゃねーか 他の仕事より楽だぜ〜」
「そりゃそーだけどよ…ってかなんでテメェと一緒なんだか」
「俺は嬉しーのな」


マフィアになって数年。
一応(?)幹部組の二人が何故こんな場所にいるかと言えば、宿屋―娼婦宿の集金の為だった。

実際のところは集金に見せかけた見回りである。
最近ボンゴレのシマを荒らす者が居ると情報が入った。
そこで、十代目ボンゴレ 沢田綱吉から直々に命が下ったのだった。


「身内が何人か被害にあってるんだ…お願い出来ないかな」
「10代目のお申し付けとあれば 行かせていただきます!」
「助かるよ じゃあ二人で…頼むね」
「は…?」
カチャリとドアが開いた。
「ツナ〜 話って何だ?」





そして今に至るのである。


「二人一組じゃねーと何かあったら困るだろ」
「そりゃそーだけど…よりによってテメェかよ」
「ヒバリとかのが良かったか?」
「…それは遠慮する」


やがてある宿の前に車が停まった。



「おぅ 女将 どうだ調子は」

カウンターの中に居る女が気怠げな視線を向けた。

「ぼちぼちだね。珍しいね あんたらが来るなんて」
「ボスからのお達しだからな。最近変わったことは…」
「あら タケシじゃな〜い」

奥の階段から黄色い声が上がる。

「ハヤトも来てるの〜?」
「きゃあ 久しぶりじゃない」

肩や胸元の開いたドレスを着た派手な女達が わらわらと二人を囲む。

「…テメェと来るとこれがヤだったんだよ」
「やぁ オネーサン達 今日も綺麗だね」
山本がいつもの笑顔で答えた。

「あいかわらずねぇ 二人とも」
「怖い顔してると眉間の皺が取れなくなるわよ ハヤト」
「…うるせぇよ」

「会いたかったわよ タケシ」
た背の高い女が山本にしなだれかかった。
「珍しいじゃない 遊んでいってよ」
「ワリィな 仕事中なんだよ。な 獄寺」
ちょっと困った様な顔を見せながら 女達に囲まれている獄寺の腕を引いた。
「あ…おぅ」

「え〜 残念〜」
「ほらほら お前達も仕事だろ」
パンパンと手を叩く音がして、女将が女達をたしなめる。


「はいはい ママ」
「じゃあね また来てよ」
「今度はあのつり目のお兄さんも連れてきてよ」
「馬鹿ねぇ あの人は跳ね馬の…」
「あら そうね」

きゃいきゃいと女達が戻ると、嵐の過ぎ去ったような感覚に襲われた。



「みんな元気みたいだな」
「なんか最後に聞いちゃイケナイものを聞いた気もするけど…」

改めて女将の方に向く。

「ほら 今月分。ボスに宜しくね」
「おぅ じゃあなんかあったら教えてな」


「あんた達も気を付けなよ」
ドアを開けた二人に女将が声をかける。

「わかってるよ。じゃな」




ばたん と車のドアを閉めて また細い路地を走り始める。


「あと何件だっけ?」

リストを捲る山本に獄寺が聞いた。
「ん〜 言われてるのはあと5件かな。そこ右」
「お前あと行ってこいよ」
「え〜 一緒に行こうぜ ハ・ヤ・ト」
「事故って欲しいのか?」
「…すみません」



「これが終われば明日はオフだな」
信号で車を停めた獄寺に山本が言う。
「獄寺もだろ?」
「そうだけど…」

すねた様な顔をしている獄寺に
「何?さっきのオネーサン?」
山本が気付いた。

「別に。…親しそうだったなって」
「獄寺…妬いてくれんの?」
「はぁ?なんでオレが…」


顔が近付いて 山本が口付けた。

「心配しなくても 俺の一番はお前だって」

にっ と笑う山本に

「言ってろ バカ」

獄寺がそっぽを向く。


「赤くなっちゃって かーわい」
「うるせぇ ほら 青だ青」
ぐんっ と車を急発進させる。
隣から 痛ってー とか抗議があがるが無視して。



夜はまだ長そうだ。





xxx





山獄マフィアになって2、3年(もっと?)くらい…の設定で。
ちょっとお仕事な話が書きたくてこうなってみました。
山本とかお姐サン受け良さそうだな…とか。

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