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時には残酷さも必要で
3
「簡単な話だ。お前が寝室に行くなりすれば良い……」

「い、嫌だッ!俺は、俺の居たいところにいるッ!」

 駄々をこねたガキじゃあるまいし、この言い方は無いと我ながら半ば呆れ返っていたら、意外にもめぐみは瞳を細め、ほくそ笑んでいる。

「なるほど。そんなに俺の傍にいたいのか?……可愛い奴だ」

「はぁッ?!んな訳あるかッ!」

 耳まで湯だったタコの如く赤く染まり、顔が一気に火照りだした。これを鎮めたくて、咄嗟に寝室へ戻ろうと腰を浮かすと、ガクンと身体がソファに沈められる。
 めぐみに手首を掴まれ、どうやら押し倒されたようだ。いつのまにか、読んでいた本も取り上げられており、テーブルへと置かれていた。

「何してんだッ!」

「……昨日は大分無理をさせたようだから、抑えてやっていたのに。俺を煽るお前が悪い」

 今の会話のどこに煽った要素があるよ?!とジタバタもがいていても、めぐみは退いてくれなかった。
 がっしりと、四肢を拘束され、身動きがとれずにいると、ゆっくりと顔が目の前まで近づき、口づけられる。

「――……ッ!」

 食まれるように唇を貪られ、舌が口内に侵入する。振り払いたくて首を横に振ろうとしたら、顎をがっちり抑えられ、身動きがつかなかった。
 

「んんッ!!」

 悔し紛れに舌に噛み付いてやったけど、めぐみはビクともせずに喉の奥を長い舌先でえづいてくる。

――今はヤリたい気分じゃねぇってのによッ!!

 と勝手に毒づいていると、頬の内側にざらりとした感触が俺を襲う。上唇を軽く噛まれて、ちゅっと音立てて離れると、唾液が糸を引いていた。
 そのままシャツのボタンにてをかけ、プチプチと器用に上半身が外気に晒された。転がすように乳首を舐められ、甘い声を上げた。
 
 

「ぁ…んッ!!」

 勢い余ってめぐみの首に腕を回した。震えてつい爪を立ててしまったが、耳たぶを柔らかく噛み付かれた。

「めぐみッ!!……嫌、だ」

 切なげに身体を震わせたが、本気の拒絶ができずにいた。もう身体が熱く火照り出してきたからだ。
 昂ぶってきた足の付け根にある自身を、白くも長い指で上下に摩られる。括れたカリの部分や先端を弄られると、腹につくほどピンと主張していた。

「……ッ!イキたいッ!!」

「イっちまえよ」

 そうめぐみが色っぽく熱い息を吹きかけるように耳元に低く囁き、指の動きを速めれば、呆気なく射精した。

「お前、結構感じやすいよな。いいぜ、俺好みだ。犯しがいがある」

 涙目で虚脱感を訴えても、無視された。俺好みとか知るかよッ!!何が犯しがいがあるだ、この変態ホモ悪魔野郎がッ!!
 声にならない荒い呼吸のせいで、心の中でしか叫べないのも腹立たしい。弛緩した身体はぐったりしていた。

 めぐみはそんな俺にお構いなしに、首筋をキツく吸いだし、変な痣ができる。変というかこれは俗に言うキスマークだ。

「てめ…ッ!んな……もん…つけやがッ!!」

 咽せて言葉につまる俺に対し、めぐみは吐息とともに尚も囁きをやめない。

「マーキング。お前、ネコの素質ありすぎだ」

「ネコって、俺、は……動物じゃ…ッ!!」

「その猫じゃねぇよ。ゲイのセックスでは女役を“ネコ”って呼ぶんだ」

 余計な知識をどうもありがとうと皮肉っていると、続きと言わんばかりに下半身の蕾にまで、めぐみの手が伸びた。
 奥へとするりするりと俺が放った精液を擦りつけられ、指をくわえ込む。逃げるように身体をひねったが、それが却って逆に奥へと導いた。

「熱いな。ここに早く俺が欲しいか?」

 そう問われても、どう返していいか分からずに、視線を泳がせていれば、また深く口づけを求められる。
 今度は自分からも受け入れると、舌と舌が絡み合う。キスをしながらも、くちゅくちゅと指の出し入れする湿った音が卑猥に耳にこびりつく。

「焦るな。そんなにいやらしくおねだりして、指では満足できそうにもないんだな」

「ちがッ!………ふぁッ!……ンッ!!」

 甘い息遣いが、淫らに肩を上下させる。空いている手で乳首さえまた転がすように弄られ、感じすぎて泣きたくなってきた。
 めぐみの髪をひっぱて抵抗するが、二度目の絶頂が近いのか、吐息が荒くなりだす。

「そろそろ欲しいって強請れよ」

 前にもそう言われて言ってしまった手前、今度は簡単には口にしまいと、声を押し殺した。

「――…んんッ!!」

 嫌だと首を振れば『わがままな奴だ』と宣っては、結局、後ろの双丘の割れ目に、熱いめぐみ自身の昂ぶりが押し当てられて。
 出たり入ったり、押し戻したりを繰り返しながらも、腰を打ちつけてくる。めぐみのかたい先端が、俺の前立腺を擦り上げる。

「や……ぁあぁあああッ!!おかしく…なるッ!!」

 めぐみの蹂躙を悦ぶこの身体が憎くも、俺はこの状況を為すがままに受け入れてしまっていた。
 腰にうちつけるスピードが速くなると、もどかしくて仕方なくなるッ!!激しい快楽を超えた先を、垣間見たような気がしながら、俺とめぐみはほぼ同時に熱を迸った。

――時計を見るのも嫌になるほど、犯され続ければ、流石に命令でめぐみを停止させる。

 これなんて強姦だよと頭を抱え込みながらも、結局は雰囲気に流されてヤってしまった。というか、ほぼ勢いとノリもあるが、あのめぐみが命令するまで犯し続けるなんてよっぽど溜まってた?
 否、それはないと首をぶんぶんと横に振る。だって昨日もヤリまくって今日だぜ?絶倫にも程がある。

 俺の身体も少しはいたわれ馬鹿野郎ッ!!と互いに別々の場所で休息をとりつつ、寝室でぐったりと眠りこけた。
 

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