アーザの火
16
凱旋した暁にはその身に纏う殻を脱ぎ捨てなさい。
さすれば新たな世界が近寄るだろう。
我らは此処に有って、我らは何処にもいない。
生も死も共に祝杯を交わしてゆける。
揺り篭の眠り子よ、目覚めたまえ。
戦いの焔は消え失せやしない。
歌は世につれ世は歌につれとされるが、これは国歌の一文だ。
世界は過去を繰り返した現在でしかなく、先に待つ未来にすら希望を抱けない。
何故この歌詞を、今になって思い出したのだろう?
どうして、懐かしさに胸が締め付けられるのだろう?
過去の瞑想はここで終わり、意識は現在へと引き戻される。
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