[携帯モード] [URL送信]
俺は除け者扱いか






突然だけど運命って信じている人はこの指止まれ。ついでに赤い糸とかそういったモノを信じてる人もさぁどうぞ。ほんの数秒前の私だったのならばこんな馬鹿馬鹿しい(失礼?)事を言い出したり、ましてや思い付きもしなかったんだけど、そういった考えを改めろとでも言うかのような出来事が今さっき起こってしまった。だってさ「──もしかして…和雲、か?」「……わぁお」初恋のY君とこんな所で再会なんて、さ。


「久しぶりだな!元気だったか?」
「…う、うん」

驚きの余り声の出なかった私に昔と変わらない笑顔で武くんは言った。未だ現状の処理が出来ずに上手く起動しない頭を自分なりに精一杯くるくる回転させて少々鈍い反応で返答をする。かくかくと首を上下に動かして頷くと「そっか!」と満足気に武くんも頷いた。「やっぱり写真のあの後ろ姿は武くんだったんだ…」という呟きは誰にも聞こえなかったらしい。気を取り直して「そっちは元気だった?」当たり障りのない、今度は私が問う形で言葉を紡ぐと清々しいくらい同じ返答が返ってくる。早く髪を濡らすなりなんなりして元の髪型に戻したいなんて考えはもう頭の中の隅の隅っこにすら残っていなかった。頬が緩む、何時もよりも胸の鼓動が速い。ドキドキする。あれ、私こんなキャラだったっけ。

「………おい」
「……あ」

ぎりぎりぎりぎり右肩に鈍痛が走るなと思ったら沢田くんの右手によって作られる痛みでした。心なしか表情は険しい、でもってオーラも禍々しい。怖いです。ほんのり温もっていた心を凍り付かせるような、そんな感じ。「俺は除け者扱いか?」「すいません」一際ぎりりと肩の骨が陥没するか砕けるかどうかなるんじゃないかと思うくらいの力で握られたので急いで謝罪をしたら微妙に力が緩む。けど未だ肩は掴まれていたりする。

「山本、もうすぐHR始まるぞ」
「ん?ああ、それじゃまた後で話そうな和雲!」
「え、ちょ」

待ってくださいと開いた口から零れたのは「ぐえ!」蛙みたいな呻き声。ぎりぎりと肩を掴まれたと思ったら今度はがっと首回りに沢田くんの片腕が絡まってずるずると「俺達もさっさと席に着こうなー?和雲」という声と共に引き摺られていく。真面目に苦しいです。「……さ、沢田く…!」ギブギブギブギブ!べしべし首に絡まる沢田くんの腕を弱々しく叩いたらぱっと離されてそのままがたん!と自分の席に着地した。打ち付けたお尻が若干痛いよ。一人悶えながら余りの扱いの酷さと痛さに微妙に涙目になってしまった。獄寺くんはとっくの昔にちゃっかり自分の席へと戻っているようで学校怠いと言わんばかりの姿勢で椅子に座っている。山本くんはつい昨日まで空席だった場所に居た。うん、余談。

「……何で怒ってるの?」
「訊かないで察しろよ」

つまりは嫉妬、なんだろうか。不機嫌そうな顔を見つめるのも程々にして先刻入ってきた教師の方に視線を移したら「……はぁ」と溜息が聞こえた。別の意味で溜息を吐きたいよ私は。

「……………あー」

若干気まずいながらも何時もの如く人の手を掴んで握る沢田くんは一体何を考えてこんなことをするんだろう。好きだからとかそんな理由だろうか、やっぱり。………あー意味判んない。直に注がれる好意にもしかしたら動揺してるのかも知れないな。私にどうしろっていうんだろう。ぶっちゃけて言うと沢田くんと一緒にいる時はドキドキではなくハラハラの方が大きいんだけど、な。

「俺以外の奴に笑いかけるなよ」
「理不尽!」

流石に怒る。

Avvelenamento di
colore primario

(そして週末が近付く)




第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!