[携帯モード] [URL送信]




「今日は遅いから先に休んでていいわよ」


紅茶の味に満足したのかシュゼットは笑みを深くする。

膝の上に乗って優雅に昼寝中のケット・シーを撫でながら、ニコはこてんと首を傾げた。


「また、いかがわしい集まりでもあるの」

「あら、おませさんね、ニコ」


ころころと鈴の音のような笑い声を上げる彼女に、むうとニコは顔を歪ませる。


「阿片の香りは連れて来ないから安心してちょうだい」


なうぅと、ケット・シー。彼は阿片の香りが大嫌いなのだ。


「じゃあ」

「乱交パーティーなんて、あなたの可愛らしい口から聞きたくはないの」


そう言ってシュゼットは一人掛けの椅子から移動し、ニコの座るソファーに腰を下ろした。


「じゃあ、何なの」

「上流階級とのお付き合いって、とっても大事なの」

「そうみたいだね、三日と間を開けずに出掛けて行くんだもの」


ニコの不機嫌を悟ったケット・シーが膝から下りて、しっぽをゆらりと揺らし部屋から出て行った。

ニコも部屋から出て行きたいと思ったが、シュゼットが彼の茶色い髪を優しく梳いていく。

こういうときニコは少しだけケット・シーの気持ちが分かるのだ。


「危ないことはしないでね」

「心配性なのね」

「結婚相手に相応しい紳士が見つかるといいけれど」


憎まれ口を叩けば、小さな耳朶を軽く引っ張られる。

そして姉が弟にするように、親愛の情たっぷりに抱きしめられた。


「私の可愛いぼうや」



シュゼットはこんな僕が好きだから、
いつまでも大人にはなれないのかな




[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!