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「今日は遅いから先に休んでていいわよ」
紅茶の味に満足したのかシュゼットは笑みを深くする。
膝の上に乗って優雅に昼寝中のケット・シーを撫でながら、ニコはこてんと首を傾げた。
「また、いかがわしい集まりでもあるの」
「あら、おませさんね、ニコ」
ころころと鈴の音のような笑い声を上げる彼女に、むうとニコは顔を歪ませる。
「阿片の香りは連れて来ないから安心してちょうだい」
なうぅと、ケット・シー。彼は阿片の香りが大嫌いなのだ。
「じゃあ」
「乱交パーティーなんて、あなたの可愛らしい口から聞きたくはないの」
そう言ってシュゼットは一人掛けの椅子から移動し、ニコの座るソファーに腰を下ろした。
「じゃあ、何なの」
「上流階級とのお付き合いって、とっても大事なの」
「そうみたいだね、三日と間を開けずに出掛けて行くんだもの」
ニコの不機嫌を悟ったケット・シーが膝から下りて、しっぽをゆらりと揺らし部屋から出て行った。
ニコも部屋から出て行きたいと思ったが、シュゼットが彼の茶色い髪を優しく梳いていく。
こういうときニコは少しだけケット・シーの気持ちが分かるのだ。
「危ないことはしないでね」
「心配性なのね」
「結婚相手に相応しい紳士が見つかるといいけれど」
憎まれ口を叩けば、小さな耳朶を軽く引っ張られる。
そして姉が弟にするように、親愛の情たっぷりに抱きしめられた。
「私の可愛いぼうや」
シュゼットはこんな僕が好きだから、
いつまでも大人にはなれないのかな
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