[携帯モード] [URL送信]
咲待ち風
「よっくさー、日向ぼっこしてたんだぁ。ココでさぁ」
「へぇっ!」
「そんころさぁ、ポロっつー野良だったんだけどデッケェ犬がいて」
「おぉっ!おっきい!!」
「オレがボーッとしてっと足元に近寄ってきて寝はじめんの、カーイクてさぁ。あっでも三橋犬ダメか?オモシロクない?」
「そんなことないよっ!た、じまくんの話は、楽しい、し。アイちゃんで…少し……だけ」
三橋って嘘つけないしさ。自信ないこと言うときは必ず誰の前でも言葉詰まっからすぐバレるんな。
「なれてきた?スッゲェーじゃんっ」
「う、わっ!!…でもまだ、ちょっとコワイ…けど」
んでショージキ。しゃべんの下手くそだったって目とか口許とか動作とかみんながコイツの思ったこと全部吐き出してる。
「そんなんゆっくりだって!コエーもん即克服なんてできたら世話ねぇよ」
「………」
「ん?なんーどったよ」
「…でも、オレ。大丈夫だと、思うんだ」
「即克服?」
「うっ!!そ……それは…ムリ…だけど……」
「おーそうか」
「でも、ポロなら、コワクナイと、思うんだ」
「へぇ…。なんで?」
あぁシマッタ。三橋になんで攻撃は違う。ぐうって息飲み込んで答えを探そうとしてる。選んだ言葉を出すのが苦手なヤツに理由付けさす意味がない。グルグルなってる三橋の腕をつかんだらやっと焦点が戻った。
「なんでもいーやっ!ウレシーよ、ポロ会わせたかったなぁ」
グニって笑えばコイツも笑い返す。基本コイツ体温高いからすぐほっぺた赤くなったり首とか耳とか色かわるし細っこいから心臓の鼓動もすぐわかる。外に向ける感情は結構むき出しなんだよな。
「田島くん、は?」
「オレ?」
「コワイの、とかある?」
「そーねー…」
暖かいなぁ。もう春かぁ、はえーなぁ。桜とかもじき満開になって家族総出で浮かれ出すんだろうなぁ。
「そうだなぁ…いっぱいある」
「そう、か。いっぱい」
「うん」
縁側に座って汗だっくだくでたらふく飲んだ麦茶は腹ん中イッパイだ。そろそろ戻んねぇと休憩も終わる。
「田島くん」
グラスに残った麦茶を飲み干しプハって息継ぎして三橋は笑った。
「季節、廻るのってこんな、コワかったんだ、ね」
それを聞いて震えた。
「…だな……うん。オレもコワイ!」
「そっ、か!」
「三橋ぃっ」
「うおっ」
「Bダーッッッシュ!!!」
春のニオイはもうすぐそばだ。


[*前へ]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!