Shadower!?
C.E.75 12月25日────
プラント内の某セレクトショップ街にて。
「キラぁー?どーーっしてもフードを被らなくちゃいけませんの?サングラスだけで十分だと思うのですが…」
「ダーメ。いつ何処でラクスを狙ってる人達が居るか分かんないんだから」
ケープに付いているフードを手で弄りながら不満そうに言うラクスと、それを半強制的に桃色の髪に覆い被せるキラ。
──とはいえ、その手付きは極上に甘く優しいものだが。
二人は共に変装用のサングラスをかけており、キラは黒のコート、ラクスは黒のケープにに身を包んでいる。
「何だか悪いことしに行くみたいで嫌なんです。普通のデートがしたいだけですのに…」
「…うん…ごめんね。でも、理由はまだ他にもあるんだ」
「え………っ」
キラは屈んでフードの中に潜む吐息を奪った。
ついばむような、軽いキス。
「…君の綺麗な髪を、そう易々と人に見せたくないじゃない。僕だけが見て、僕だけが触れていい桜なんだから」
真剣な瞳で独占欲丸出しの台詞をいとも簡単に言ってのけるこの男。
子供なんだか大人なんだか分かったものではない。
「〜〜っキラは確信犯ですわ……//」
「それはどうも。てか、サングラス付けてるとキスしにくいね」
そう笑いながらラクスの手を引いて、店の中へ入って行くキラ。
───その後方約10メートル付近の建物の陰に、「彼ら」がいることも知らず。
「ちょっ……何あれー!??//キラさんっていつもあんなキャラだったっけ!?」
「てか……あれホントにキラさん…??」
「つーか俺ら、これじゃただの怪しい人じゃね?」
「それは俺の台詞だぁーっ!!!」
赤、黒、金、銀の頭が規則正しく並んでいる。
四人揃って黒いサングラスをかけているものの、それが全く意味を成さない程に個性丸出しなメンツだ。
「大体何でこんな悪趣味なことをしなきゃならないんだ!」
「あ〜ら。そんなこと言ってる割にちゃーんとついてきてるじゃないですか、ジュール隊長」
「なっ……!!//俺はお前が議長の護衛任務だと言うからついて来ただけだ!!断じてこんなストーカーもどきなことをする為ではない!!」
悪戯に笑ってからかうルナマリアと、必死で反論するイザーク。
それを見かねたディアッカは仲裁に入った。
「まぁまぁ落ち着いてイザーク。どうせ俺ら暇なんだし、評議会ではいつも冷静なキラとラクス議長がどんなデートするか見といたっていんじゃない?これからの参考にさ」
「なんだとぉーっ!??」
「あれ…エルスマン先輩とジュール隊長って彼女いるんじゃなかったんですか?」
「あ、私もそう聞いてました!違うんですか?」
シンとルナマリアは目を丸くして二人を見る。
「ぁ〜…ぁははは!ま、まぁ…色々あるんだよ。な、イザーク!」
「そんなことはどうでもいい!!今は任務中だ!!」
いや、だから任務と託けた査察だって……と言いたげな顔をイザークに向ける三人。
「あ、二人で服見てる〜!こうやって見るとやっぱラクスさんとキラさんて超美形カップルよねぇ〜」
ルナマリアは店の中にいる二人を見つめた。
「てか、ラクスさんてアスランさんの婚約者だったよな?あれはどうなったわけ?」
「一回目の大戦の時、クライン議長がキラに開発したばっかのフリーダムを渡したんだよ。それでザラ議長に指名手配されて、アスランとの婚約も帳消しにされたってわけ。ホント大胆なことするよなぁ」
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