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X'mas Lovers




「さて、何処へ行きましょうか?お姫様」

「ふふっ…キラとなら何処へでも」


ベタな台詞を言い合う二人。
端から見れば全身を掻きたくなるような光景だが、本人達にとっては日常茶飯事だ。


「ん〜…じゃあ取り敢えずご飯でも食べに行こうか?折角のX'masだし」

「はいっ」


普段よりフォーマルな服装に身を包んだ二人はそれぞれ容姿端麗さが際立っており、街を歩く人々の目に"憧れの恋人像"として映っている。
無論、当の本人達は全く気付いていないが。


年に一度のイベント、X'mas。
街中がロマンティックな雰囲気を醸しだし、子供から大人まで───…取り分け恋人達にとっては、とても重要なイベントだ。


ラクスはキラと繋いだ手を見つめると、少し頬を赤らめて微笑んだ。



───幸せ、ですわ。







が、そう思った矢先………







「キラーッッ!!」



甲高い声と、こちらへ走って来る足音が響く。
その聞き覚えのある声に、ラクスの胸はドクンと脈打った。


「フレイ…!」

「やっぱりキラだったわ!良かった〜!間違ってたらどうしようかと思っちゃった」






ラクスは、目の前に現れたその朱い髪の少女を凝視した。

フレイ・アルスター……もとい、キラの元恋人。
ヤキンドゥーエ戦で命を落としたと思われていたが、実はイザークの手によって救われ、一命を取り留めていた。
その後もイザークの計らいでプラントに定住していたが、キラとラクスは戦後オーブに居たため、二回目の大戦の後、プラントに上がって来たつい最近になってそれを知ったのだった。


「こんなとこでどうしたの?一人?」

「ん〜?別に…友達と約束してて、まだ時間あるからブラブラしてるだけよ」


フレイはキラの問掛けに曖昧に答えた。
そして、チラッとラクスの方に目を遣り…


「ねぇキラ!ちょうど良かったわ!時間潰すの付き合ってくれない?一人で居たってつまんないもの!」

「え……で、でも…」


キラは困った顔で隣にいるラクスを見た。


「…わたくしなら構いませんわよ?お一人は寂しいでしょうし…」



──あぁ、どうして

どうして心にもないことを言ってしまうの?

聞き分けのいい女にでもなろうとしてるつもり?



……馬鹿みたい。







「ラクスがそう言うなら……でも、少しだけだよ?」

「うん!ありがとっ!」




そして、三人は近くの公園へ向かった──。















「じゃあ僕何か飲み物買ってくるから、ちょっと待っててね」


キラは二人をベンチに座らせ、その場を後にした。


「……………」


暫く沈黙が続いたが、それを先に破ったのはフレイだった。


「ふふっ…キラってば全然変わってないんだから」

「………?」

「ああやって人にばっか気を使って、バカみたいに優しくて」


フレイは懐かしげな表情で笑う。


「4年前もそうだった。戦いに出る前は必ず私の手を握って“僕が守るから”って言ったり………慰め合ってる時でさえも、キラは私に気ばっかり使ってたわ」

「…………っ」








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