私立蜜柑学園
in校長室
――コンコン
「どうぞ。」
「「失礼します。」」
おぉ、意外にダンディーだな律さん。父さんより4コ上だったっけ?? 背はそんなに変わらないけどしっかりとした体つきで、髪型はオールバックで……やっぱダンディーだな。
「お久しぶりです、雨森さん。何年振り位になりました??」
雨森さんって…ここにいるの全員(っても3人だけど)雨森さんじゃん!!
「もう15年とかになるんじゃないんですか?? めぐる君がまだ歩けていませんでしたからね、めぐる君は私の事全く覚えてないでしょう??」
全く覚えてないっつーの。
「はい…すみません。」
「仕方がないですよね。とりあえず、こちらに座って下さい。」
すげぇふわふわなソファー!! 庶民な俺から見ても高級品なのが分かるよ、これ。律さんは向かい側の一人掛けの方に長い足を組んで座った。
いいなぁ、ああいう格好が似合って。俺なんかがやったら若干いたいこになるからね。いや、人間見た目じゃねぇ!!
「では、改めて初めまして、君のお父さんのお父さんの弟の息子の雨森律(アマモリリツ)です。これからよろしくお願いしますね。」
うん、とりあえず結構遠い親戚だよね。それによろしくするつもりはあんま無いんだよな…。
「いえ、僕の方こそ到らぬ点がたくさんあると思いますがよろしくお願いします。」
「本当に駄目息子ですがよろしくお願いします。」
「はい。これから学園の説明をしたいと思うんですが、百合子さんは聞いていかれますか?? 保護者に対しての説明は事前に渡してあるパンフレットで十分なんですけれど。」
「母さん引っ越しの片付けとかまだ残ってるんだろ?? 帰っててもいいよ??」
帰れー!! 帰れー!! さっさと帰れーっ!! とか思いつつ言ってみる。たぶんこの案に乗っかって帰るだろ。だってここに来る時からすっごい面倒くさそうにしてたしな。
「なら、お言葉に甘えようかしら。」
ほら、当たった!! いや、あいつが分かりやすすぎるだけなんだけど。律さんも作り笑いが激しいよな。
「GWには帰れると思うから、それまで元気でね、母さん。」
「百合子さん、茂樹によろしく伝えて下さい。」
あ、百合子さんは母さんで、茂樹は父さんね。
「はい。失礼しました。」
これで律さんと2人ぼっちか。さてどうしようかなあ。このまま良い子ちゃんを演じるか、見破ってもらうか、自分からばらすか。律さん一癖も二癖もありそうだからな。あぁ、楽しくなってきた。
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