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私立蜜柑学園
2




side・太郎


 今日からおれのクラスに転入生が入るらしい。資料で見た時も、実際に会った今も、やっぱり平凡としか思えないな。普段他人に無関心な学園長が気に入ってるみたいだったから何かあるのか??


 とりあえず、この学園の説明をしなきゃいけないな。たぶん長くはならないだろうが、飲み物が必要だな。雨森は何か考え事してるみたいだし、今の内に淹れてくるか。


 よし、雨森もこっちに戻ってきてコーヒー飲んでるし、一段落着いたな。早速本題に入るか。


「雨森は高校卒業後、何をしたいんだ?? それによって選択する科目が違ってくるからな。」


「僕は国公立の教育学部に進みたいです。」


 ほぉ、教育学部か。なかなかいい目をしてるな。ずっと前から行きたい大学が決まってたのか??


「自分が行きたい大学は絞ってあるか?? センターや2次試験に何が必要か分かるか??」


「大学はすでに1校に絞ってあります。センターは国数英に理科・地歴・公民から1科目ずつで、2次試験は小論文だけになります。」


やっぱり調べてあったか。


「そこまで調べてあるとは…すごいな!!そういえば、雨森が前通ってた高校もうちと似たような制度を導入してたもんな。なら、説明しなくてもだいたいの事は分かるな??」


「はい。大丈夫だと思います。」


 雨森はそう言いながら、微笑んだ。それが先程までの笑顔とは違って艶やかで…不意打ちだよな。やばい、落ちた。


「あ、あ雨森は、この学園についてどの位知ってるんだ??」


「えと、全寮制の私立男子校で名門と呼ばれる部類に入り、単位制を取り入れ"生徒の自主性"を重視している学校、位です。」


 もう、名前呼びでいいか。


「めぐるは同性愛についてどう思う??」


「本人同士が良しとするなら良いんじゃないんですか?? それにまず、僕には関係ないでしょうし。」


 偏見がないのは良かったが、関係なくはないな。ここに一人、関係を持つ気満々の奴がいる訳だし。


「そうか…。実はこの学校、初等部から周り男ばっかで、中等部と高等部に至っては全寮制で、恋愛対象が男に向く奴が多いんだよ。殆どバイだと言ってもいい位だな。」


「そ、そうなんですかっ!? でっでも、僕みたいな平凡には無縁な話ですよね??」


 無縁じゃないんだけどな…。とりあえず言い聞かせてみるか。


「いや、お前は動作が可愛らしいし、笑顔がやばい。ノーマルな筈のおれでも一瞬くらっときたからな。」


 はぁ。絶対分かってないな。言って分からないなら、態度で示すしかないよ、な??


「めぐる、ちょっとこっちに来い。」


「なんですか、先せ
――ちゅ
………い??」


 うん、めぐるは可愛いな。何されたか理解できなくて呆けてるよ。


「これで分かっただろ。めぐるは無防備すぎる。もしここに他の人が誰もいなかったら、このまま食べちゃうところだったぞ。」


 反応が返ってこないな。そうか!!


「ん?? それともこれから、おれの部屋に来るか?? こんな学校にいるせいかか男同士でヤる知識はあるから、痛くはしないぞ??」


 そおゆうことなんだろ?? 早く行こうか。






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