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□■Club24-7■□
If your heart…6

「ヒロミちゃん…」

和也はうつむくヒロミを心配そうに見ると

「和也さん、私のことが好きなら、このままどこか遠くへ連れてってください…」

泣きながら答えるヒロミに困惑しながら和也は掛ける言葉が見つからずスーツのポケットからハンカチをヒロミに差し出し

「突然どうしたの?ヒロミちゃん……」

ヒロミはハンカチを受け取りまぶた押さえ泣き続けた。

そして、二人とも立ち尽くし時間は過ぎていった……


「ごめんなさい、突然泣いて、私……私自身が分からなくなって…」

「わからない?」

「私、今の仕事始める前はヘアサロンで働いていたの、美容師だったんです……」

「そうだったの」

ヒロミは初めて和也に自分の過去を話してきた……


「私の実家は海の近くの小さな港町で、母はそこで一人美容院を切り盛りしていたの…父は私が小さい時に離婚して母が女で一人私を育ててくれた、毎日、毎日、母は仕事で忙しく私は寂しかったけど、そんな母の背中を見て私も母に少しでも力になりたくて……
私の夢だったんです母と同じ美容師になってそして店をもつことが。
中学を卒業してから私は高校にいかず上京してヘアサロンに住み込みで専門学校に通って資格を取り長い下積みからやっとハサミを持つようになり仕事を任せられるようになったけど……」

言葉を詰まらせるヒロミを和也は見守り、自分の首に巻いている襟巻きをヒロミの首に巻いてあげた。

「和也さん、ありがとう…私、考えが甘かったのかな、最初は無我夢中で頑張ってやってきたつもりだった。一生懸命にお客さんの要望や注文にそして希望に答えようと私なりに頑張って髪をカットしてセットした……でも、納得いかないとか、ケチをつけられたり、中にはお金を払いたくないという客までいて…私より若くていい服着て高いブランドの財布やバックを持っていて、なんだか納得いかない毎日と自分がどんどん惨めに思うようになってきた時、夜ホステスさんのヘアをセットするバイトを始めてから興味を持って美容師を辞めホステスになりました。
過去を全て捨てて…
私、輝きたかった。
でも、結局逃げていたんですよね、私…」

「大変だったんだね、ヒロミちゃん…ごめんオレは何も知らずに好きだと言って」

和也はヒロミの話を聞き、自分の安易な気持ちに反省した。

「謝らなくていいんです。和也さんは他のお客さんや男の人と違っていました」

「違ってた?オレ店にはあまり行ってないし、メールしかしてなかったけど…」

「毎日、私にメールで励ましてくれていたじゃないですか?」

「まあ、オレに出来ることってそれしかなかったから」

「その気持ちだけで私は十分でした。他の男性は下心や、駆け引きとか…和也さんのメールだけが私をほっとさせてくれました」

正直、和也もヒロミに対して下心や疾しい気持ちがまったくなかったわけじゃなかったが、ヒロミとメールでやりとり出来ることと、共に時間を共有するだけで十分だった。

「ねえ、ヒロミちゃん年末予定ある?」

「大晦日ですか?」

「うん、良かったら一緒にCLUBいこうよ!」

「CLUB?あの踊るところですか?」

「うん、そう、丁度行く店でオレの知人や高校時代の友人がそこでDJをやるんだ」

「私、一度もCLUB行ったことないんです」

「じゃ、行こうよ!一緒にカウントダウンしよう!」

「はい、楽しみにしています」

ヒロミに笑顔が戻り彼女の住む近くまで和也は送り帰宅した。
自宅へ付いたのはもう夜が開けクリスマスになっていた。

『☆メリークリスマス☆和也さんプレゼントありがとうございます。和也さんとイブを過ごせて嬉しかった、けど私、泣いてしまってすみませんでした。
大晦日楽しみにしています』

ヒロミからのメール
イブの夜、告白をしてはみたがヒロミの過去を聞かされ複雑な心境のまま和也は大晦日のカウントダウンについてヒロミにメールを送り眠りについた……

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