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□■Club24-7■□
7月21日
 7月21日、暑さがまだ続く午後3時過ぎここClub24−7のオーナー春人が開店準備に追われていた。

ガチャ、

店のドアが開き誰かが入ってきた。営業時間どころかまだ開店もしていないはずだが、

「オッス、ハル!いやオーナー、店の準備はどうだい?」

高校からの親友であり店の開店にいろいろと協力してくれたカズマだった。
カズマは現在、若手のダンサーやシンガー、ミュージシャンを育てる小さなプロダウクションの社長だ。

「カズマ、今ちょうど音響のチェック終わったところだ、しかし暑いな、冷たいものでもだすよ、まあ適当に座ってくれ。」

春人はカウンターの冷蔵庫から冷えたコーラを出し、グラスに氷をカランと音をたてゆっくりとコーラを注いだ。
コースターにグラスをのせ灰皿も一緒にカズマに差し出した。

「サンキュー、もう殆ど準備はできているみたいだな。」

一口咽を潤したカズマがタバコに火をつけ煙をふかし店内をゆっくり見渡した。

「ハル、夢叶えたな、お前との付き合いも15年だなあ、お互いもう三十路か、」

少し微笑みながら春人を見つめタバコを消し、足をくみ膝に手をのせ遠くを見るように天上を眺めた。

「ああ、でもまだ開店もしてないけどな、カズマにはいろいろと世話になったしこれからも迷惑かけるかもしれないけどな。」

「お互い様だ、」

カズマが春人に右手を差し出しパチンとお互い手を軽くたたき握手をした。

「春人、時代は変わったよな、今じゃスクラッチもCDで出来るしミックスCDも簡単にパソコンで出来るからな。」

「あぁ、オレが時間と手間暇かけてミックステープを作ってたときがなつかしいよ。苦労して作っても音質はわるかったしな。今じゃパソコンでアナログのノイズを消せるんだぜ!信じられないぜ、まったく…」

「時代の流れかぁ…」

カズマはカウンター奥の棚に飾ってある写真盾に目が入った。

そこには春人、カズマ、そして直樹と言う名の二人より年下の男性が一緒にN.Y(ニューヨーク)のブルックリン橋で撮った写真だった。

「ところでハル、直樹はOPENに来るのか?」

カズマが写真を指差し春人に問いかけると

「ああ、来るよ、あいついろいろとあったみたいだけどさ、直樹のDJで店内が盛り上がるのが目に見える。」

春人はカウンターからフロアの奥にあるDJブースを眺め、あたかもそこに直樹がDJをしているかのようにテーブルの上でトントンとテンポよく指でリズムをとっていた…。



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