□■Club24-7■□ DIVA 歌姫 2 DJの回す選曲がアップテンポなHIPHOPナンバーからBPM(テンポ)が少し下がった落ち着いたミッドなR&Bに変わると同時に、ヒロシがDJブース前のフロアに身を低くしながら素早くスタンドマイクをセットし始めた。 「あっ、お兄ちゃん」 樹里の視線が兄のヒロシに注ぐと。 「リエ、いよいよ涼子さん登場だね!」 明美が両手を口元にあて憧れのアイドルに会えるかのように瞳を輝けせていた。 「うん、明美のコーディネイトした衣装でね」 リエが明美の両肩に手を添えステージを見守った。 「リエさ〜ん」 「今晩は、リエさん」 背後から二人の女の子がリエに声を掛けてきた。 「あっ!あなた達…」 「覚えています?ウチら…」 ショウトヘヤーの一人が自分を指差しリエに問いかけると 「ごめ〜ん、 あたし男の子なら覚えてるんだけど(笑い)」 リエはわざとらしく苦笑いし、右手で頭をかいた。 「え〜っ!?マジッすか?」 「もう、リエったら…… 昨日リハの時、携帯の写メで私に説明したじゃん!」 香奈が笑いながら突っ込みをかけるようにリエの胸を軽く叩いた。 「冗談、冗談だって(笑い)カオリちゃんとユカちゃんだよね!」 そう、二人は先日、渋谷のHMVで出会ったカオリとユカだった。 「リエさん、かんべんしてくださいよ、先日会ったばかりじゃないですか(笑い)」 カオリが笑いながらリエに答える光景を樹里は見ていると思わず香奈に言ってきた。 「リエさんって、友達や知り合いが沢山いてなんか羨ましいなぁ……側にいるだけで楽しいっていうか、自然に笑顔になれて……」 「でしょう!?私も素直にリエのそういう所好きだし、みんな自然とリエに親しみを感じるし憧れる…そこがリエの魅力だし親友で良かったといつも思うわ」 「そう、そう、紹介するわ!」 リエはそう言うと、瞳が大きくハッキリし日焼けしたカオリを指差し紹介し始めた… 「私と香奈のダンススクールの後輩になるカオリちゃんとユカちゃん」 「初めまして、カオリです」 「ユカです、初めまして、ウチらリエさんと香奈さんに憧れてダンスやってます」 「リエから話聞いたよ、ダンスがんばってね!」 香奈が二人に手を差し出すと、カオリとユカは嬉しさのあまりその場で飛び跳ね握手どころか香奈に抱きついたのだった。 戸惑うように驚く香奈とはしゃぐカオリとユカをリエは見ながら言ってきた。 「ちょっと、なんか私より感激度高くありません?お二人さん?」 明美は笑いながら見ている中、樹里は唖然と立っていた。 「えへんっ!!みなさん注目ですよ!それから、あそこにいるヒロシさんの妹の樹里ちゃん、かわいいよね!私みたいに、キャハ(笑い)」 リエはおどけて樹里を抱き締めながらみんなに紹介した、初対面でヒロシの妹という繋がりだけなのに…… 自然に違和感もないリエの行動に樹里は大分前からリエを知っているかのような親近感を感じた。 「リエったら、一言多い(笑い)」 香奈がリエに突っ込みをかけた。 「へぇ〜、ヒロシさんの妹さんなんだ!」 カオリが樹里に笑みを浮かべながら言ってきた。 「樹里です、ヨロシクです」 樹里はみんなに軽くおじぎをした。 「お兄さんさっきDJやってたね!いいなぁ、私もカッコイイお兄さんほしいいなぁ」 ユカの言葉に樹里は照れながら素直に受け入ると同時に、兄の存在が大きく感じたのだった。 「そして、私の親友で渋谷のショップの店員してる明美、今日の涼子のステージ衣装は明美のコーディネイトなんだよ!」 「へぇー!そうなんですか!マジで?凄い!!」 「ていうか、ウチら何度か明美さんのショップ行ってるし、明美さんに服やアクセのアドバイスしてもらったりしてたし…」 カオリが明美に問いかけると 「うん、カオリちゃんとユカちゃん良く店に来てくれて、お互い話してたもんね、毎度ありがとうございます」 「いえいえ、明美さんのセンスはマジ間違いないし、ちなみに今日着てるTシャツだって明美さんがすすめてくれたモノだしね! お気にですよ! でも明美さんがリエさんの友達だったなんて…縁って不思議だなぁ……」 ユカが着ているTシャツに手を当て、明美とリエの顔を見ながら答えた。 「そっかぁ、みんな、どこかで繋がっているんだね……そう、そう忘れてはいけません! この方、もうみんな知ってるけど、私の大切な親友!香奈!」 「リエ、ありがとう!みんなよろしくね!」 香奈が軽く会釈をすると店内のサウンドが低くなり、ヒロシがスタッフルームに向かった。 「あっ!始まるよ!!みんな前に行こう」 香奈を先頭にリエが樹里をサポートしながら人込みを掻き分けステージ近くにみんなを連れていった…… マイクフォンチェックOK! ステージの準備は完了! 後はDIVA 涼子の登場だけだ…… [前へ][次へ] [戻る] |