No Retrogression
幽閉
「……うわぁ……まぢかぁ…………ははは...」
二人に連れてこられたのはとある廃墟
周りは木々が生い茂り、庭は手入れがされていないらしくひどい有り様だった
しかし見える範囲では窓は一枚も割れてはおらず、くもりすらない
ここら辺では有名な廃墟でよく噂を耳にする
噂その一
行方不明者が出ている(警察が中を調べたが入った形跡すらなし)
噂その二
人が居ない、住んでいない筈なのに中は綺麗で埃がないらしい
噂その三
窓は強化硝子で割れなくてどの窓も鍵がかかっていて開かない
噂その四
出入口の扉は1つ、常にかギガかかっているが希に開いているとか...
噂その五
中は暗いところが多いらしくて、その中を歩いていると足音が増えるとか
etc.etc.......
挙げていったらきりがない
そんな恐ろしい館へ連れてこられた
「……なぁ、どうせ鍵開いてないんだから帰ろうぜ……気味が悪い」
「「駄目!」」
とうとう着いてしまった
黒虎が扉に手を掛ける
……神様お願いです、鍵を開けないでください、お願いします!
ガチャッ!
「お♪開いたぜ」
神様のバカヤロ〜!
「へっへっへ.....観念するんだな!」
「嫌だぁぁ!」
俺の悲痛な叫びが林のなかに吸い込まれていった
二人に半ば引き摺られる形で館に踏み込んだ
扉がしまりカチャンと鍵がしまる音がし、三人は館に閉じ込められた
しかし三人は気付くことは二度と無かった
窓に写っていた黒い影にも...
何故って?
決まっているじゃないか
此所からいなくなってしまったのだから
此所のことを知る術なんて有るわけがない
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