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2P



「おっ!!こんなところに池があったんだなー!」


クロトはいぶを連れて、リクの待つ木陰から少し離れたところまで歩いてきており、池…と呼ぶにはふさわしくないかもしれない澄んだ水溜まりが広がっているのを見つけた。


「結構歩いたなーそろそろ戻るか、いぶ……………ん?」


足元を見ると、おやおや?さっきまで1匹…もちろんいぶだが…しかいなかったはずのその場所にいぶが2匹もいる…?

クロトは目をこすってみる。
でもやっぱりいぶが2匹いる。

いや、正確に言うと"イーブイが2匹いる"。その証拠に、いぶはしていない青色のバンダナを、もう1匹のイーブイは首に巻いていた。

「び…びっくりした……いぶが分裂しやがったかと思ったよ…!!!このイーブイ野生か?いや…バンダナ着けてるし違うよな………」


2匹のイーブイは互いに何か話しているようだ。


―…ヒイィィィ―

その時突然どこからか笛の音が鳴り響いてきた。
それを聴くとバンダナを着けたイーブイの耳がピクッと動いて後ろに振り向いたかと思うと、池の方へと走っていった。


「ん……あの人、イーブイのトレーナーかな…」


池のほとりには、澄んだ水面をじっと見つめている人が立っていた。

青色の長い髪を2つに結び、背は遠目からだが…クロトと同じくらいだろうか、そして全体的に青系統の服に身を包んだ少女…だった。
その少女はこちらを向くと、イーブイが走って来るのを見ていた。首から下げた"ポケモンの笛"がキラリと輝いていた。さっきの笛の音はこれだったようだ。
少女はイーブイが隣に来るのを確認すると、クロトには気付いて見ていたものの、すぐにこちらに背を向けその場から歩いて去っていく。


「あ…ちょっ……待っ……おぉーい!!!お前のイーブイバンダナしてて可愛いなー!!」

初めて声をかけるにしてはどうだろうかという突っ込みはさておき、クロトはその少女の背に向かってそう叫んだ。

「………おっ?」

すると少女はこちらを向いてクロトといぶをもう一度まじまじと見たが(…否、睨み付けるという表現が正しい目つき)、すぐにプイッと顔を背けると去っていってしまった。


「んな…!なんだよあいつ!!感じ悪ぃい!!声かけるんじゃなかったな……帰ろうぜ!いぶ!」

クロトは怒り心頭でズカズカとその場から去っていった。





―――――――――――――――





「リクー…悪い、遅くな………」

リクとポケモンが待つ木陰まで戻ってきたクロトといぶ。

「く………く、クロト…君ーー……」


リクはうつむいて座っていたが、クロトに気付いて顔を上げると、今にも泣きそうなくらいに青ざめた顔をしていた。

「え!?何、どうしたんだっ?」

クロトはそれを見て戸惑うばかり。

「こ………こ、れ…………」

そう言うリクの両手の上には包みの布に石ころが…

「え……これって……預かってた……石………2…つ…………?」

状況を察し始めたクロトは唇をひきつらせながら言う…。








「こぉおぉぉぉんの馬鹿野郎がぁぁあぁあっっ!!!!!!!」


―バキィィィッ!
………とまではいかないが、ものすごい音を立てて、クロトはりおを殴る。

「なんで石で遊ぶんだよ!!どーすんだこれっ!!!真っ二つだぞ!!うぁぁぁあ…ありえねぇー………」

リクに説明を受けたクロトは大激怒。
今度はクロトが膝まずいてうつむいてしまう。

「クロト君…どうしよ…………わっ!」

クロトはいきなり立ち上がってリクの肩を掴んで見下ろして言う…。

「よし…いいか、オレ達は何もしなかった…何も見なかった………だ。石は博士の助手に渡す…1つだけだ!…割れた事実をなくすんだ……いいか、オレ達は何もしてないんだ…何も…!!!!」

クロトはリクと自分にまるで暗示をかけるかの如くつぶやいた。




「よし!!んじゃ気を取り直して…キキョウシティに入ろうぜ…リク!!!」


「う…う、うん!!!」

リクはやはり不安で仕方ないのだろう…石のことが…。

だが2人はそれでも進む。そうして出発した2人はキキョウシティへと通じるゲートを抜けて行くのだった。




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あきゅろす。
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