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嵐の傷跡とその先の景色(青黒←黄) side:黒




僕たちが中学二年の時。
その嵐は、予告もなく、本当に突然
平和を乱しながら訪れた。



「よろしくお願いしますっス!」
大きな、透明な声で僕にそう言ってきたのは、
入ったばかりの黄瀬君だ。
「こちらこそ。」
僕は赤司君に言われて、彼の教育係を担当している。
僕なんかの教育が必要なのか、全く分からないが。
「では、ボールの準備をお願いします。」
「はいっス!」
すぐにてきぱきと準備を始める彼。
確かに才能があるし、性格もいい。
ただ、彼のことをどのように自分が思っているのか、分からない。
その原因は、はっきり分かっているのだけれど。



「青峰っち!1on1しよう!」
また今日も。
彼は僕にできないことを平気でやってしまう。
僕の中にあるのは、黒くて醜い感情。
「あぁ?他当たれよ、他。」
「えー!いいじゃないっスか!」
「ヤダ。めんどい。」
「青峰っちひどいっス!」
とても、仲が良さそうで。
一年間一緒にいた僕たちに
あっという間に溶け込んで。
いや、溶け込むだけでなく、自分の輝きを
周りに見せつけて。
僕の努力はきっと、
もともと彼に備わっていたものなんだろう。
僕は、自嘲しかできない。



「テツ?お前大丈夫か?」
ぼーっとしすぎたらしい。
体育館には僕と青峰君と、黄瀬君だけ。
「黒子っち!大丈夫っスか?きついのなら休んだ方がいいっスよ。」
心配そうな顔を見せる。
そんなところが、そんな彼のできたところが、
ぼくをさらに自己嫌悪に追い込む。
「いえ、大丈夫です。帰りましょうか。」
嫌な思いを振り切って、僕は一気に立ち上がった。



後片付けをして、鍵を返し、ようやく帰れる。
外へ出ると、青峰君が待っていてくれた。
「テツ。帰るぞ。」
「はい。」
2人で並んで歩き出す。
こんな些細なことがいつもは幸せだけど、
最近はどうしてもそんな幸せを味わえない。
彼は、ここまで僕たちを邪魔したいのだろうか。
「…青峰君。」
「なんだ?」
「…黄瀬君のことを、どう思いますか。」
「ああ…あいつか。あいつの性格はうざいな。
話し方とか。でもバスケはうまいし、センスあると思うぜ。」
「そう、ですか。」
「突然なんだよ。何かあったのかよ。」
「いえ…特には…。」
青峰君は、黄瀬君のことが好きなのだろうか。
今日は断っていたが、なんだかんだで
1on1の相手をほぼ毎日しているし、
その時の青峰君は、最近になって特に楽しそうだ。
その事実が少し胸をえぐる。
僕は、本当に、青峰君の恋人なのだろうか。
こんなことを考えていたので、
青峰君の機嫌が悪くなったことに
僕は気づかなかった。
「テツ、家、着いたぞ。」
「あ…もう着いたんですね。ありがとうございます。
それでは、気をつけて帰ってください。」
「…ああ。」
心の中でため息をつきながら、
ドアノブに手を掛ける。
「…テツっ!」
「はい…?……っ!」
不審に思って振り向いたところで、
触れるだけの軽いキスをされた。
一気に顔が熱くなる。
「…テツ、お前はオレのもんだからな。」
「…はい。」
顔の熱はさらに温度を上げる。
じゃ、っといって青峰君が帰ろうとする。
いい逃げなんて、ずるい。
僕は一生青峰君には勝てないな。
それでも、仕返しに。
「…青峰君。僕は、君のことが、大好きです。」
言い切ると同時に、急いで家の中に入る。
ドアが閉まったところで力が抜け、
ドアにもたれかかったまま、ずるずると腰を落とした。
「好きです、青峰君。」
余韻に浸ったまま、つぶやく。




青峰君から逃げることは、
どうやら一生できなさそうだ。




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お久しぶりです、ひなです。
わたしの大好きなフォロワーさんの
緑茶からのリクで、青黒←黄でした。
こっちは楽しんで書いてましたが、
楽しんでいただけたでしょうか?
今回は青と黒のサイド両方同時にUPということで、
いつもより執筆に時間かかりました。
結局黄瀬君が不憫で終わっちゃいましたw
黄瀬クラスタさんごめんなさいです。
今後もこのような扱いになる可能性が…w←


黒子は、
青→大好きだけど、僕なんかよりも黄瀬君の方がいいのかも…? 
黄→かわいい後輩みたいな感じだけど、
青峰君に近づきすぎないで欲しい
的な感情抱いておりますw


リクなどいつでも受け付けてますので、
気軽に声掛けてやってください!
最後までお付き合いいただきありがとうございました。





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