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嵐の傷跡とその先の景色(青黒←黄) side:青




あいつはなんなんだよ。
途中から入ってきたのに、
もう周りと溶け込みやがって。
それに、俺の大事なテツとの時間を
うばいやがって。



あいつは中二の時に、突然やってきた。
赤司の命令で、テツが教育係として着くことになって。
それだけでもいらいらしてんのに、
あいつはテツのことが気に入って、
すごく懐いているようだ。
それは俺の特権なのに。
すごく邪魔をしに行きたい。
でも、邪魔をしにいけない。
なぜって、テツがとても楽しそうだから。
引き離したいのに、引き離せない。
黄瀬、俺にがまんする理性があったことに
感謝するんだな。



部活が終わり、帰るやつとまだ練習していくやつに
それぞれ分かれる。
今日はどうしようか迷っていると、
「青峰っち!1on1しよう!」
と声を掛けてきた。
「あぁ?他当たれよ、他。」
「えー!いいじゃないっスか!」
「ヤダ。めんどい。」
「青峰っちひどいっス!」
こいつ、バスケはうまいし、センスもある。
なのにうざいし、いい性格してるよな。
あとあの話し方はやめろ。イラッとくる。
ふと、テツの方を見ると、
体調が悪いのか、少し顔色が悪かった。
近寄って声を掛ける。
「テツ?お前大丈夫か?」
体弱いから、少しのことでもすごく心配になる。
「黒子っち!大丈夫っスか?きついのなら休んだ方がいいっスよ。」
お前は何だよ。いらいらする。
何話しかけてるんだよ。
こんな自分にも、いらいらするが。
自分は最近おかしいのだろうか。
どうかしてる。
「いえ、大丈夫です。帰りましょうか。」
そういって立ち上がるテツは、
相変わらず俺には想像できないほどまっすぐだった。



今日はテツが鍵当番だったので、
テツが最後だ。
黄瀬はモデルとか何とかで帰り、
俺は体育館の外でテツを待っていた。
しばらくして、テツが戻ってきた。
「テツ。帰るぞ。」
「はい。」
つきあい始めた最初、俺がテツを
家まで送っていくと言ったとき、
テツが迷惑になると言って反対した。
迷惑どころか、むしろ毎日送りたいということを
伝えて、それ以来何もないときはずっと2人で
歩いて帰る。
それが、俺には至福の時間だった。
「…青峰君。」
互いに口を開かず、ずっと続いていた沈黙を、
テツが破った。
「なんだ?」
「…黄瀬君のことを、どう思いますか。」
黄瀬?なんでアイツが出てくるんだよ。
でも、しょうがない。さっき思ったことを
そのまま伝える。
「ああ…あいつか。あいつの性格はうざいな。
話し方とか。でもバスケはうまいし、センスあると思うぜ。」
「そう、ですか。」
「突然なんだよ。何かあったのかよ。」
「いえ…特には…。」
そして、また黙り込む。
なんだよ、急に黄瀬のことを気にして。
まさか、黄瀬に惹かれて、俺を捨てるのか?
頭の中をそんな考えが駆けめぐる。
そうなったら、俺はどうすればいいのだろうか。
それから少し歩いて、テツの家に着いた。
隣を見ると、まだ考え事をしているのか、
ぼーっとしている。
「テツ、家、着いたぞ。」
「あ…もう着いたんですね。ありがとうございます。
それでは、気をつけて帰ってください。」
「…ああ。」
ほんとにぼーっとしていたみたいだ。
まだ考え事をしているのか、
俺の方をあまり見ないまま、いつもの挨拶をし、
家に入ろうとする。
ちょっと待ってくれ。
俺はお前に聞きたいことがあるんだ。
頭が混乱する。俺はどうしたいんだ?
…ああ、俺には考えるなんてことは向いていないと
分かっていたのに。
もう、考える前に俺の体は動いていた。
「…テツっ!」
「はい…?……っ!」
不思議そうな顔で振り向くテツに、
触れるだけのキスをする。
これで、俺の思いが伝わったなら。
テツを見ると、顔が真っ赤だ。
くそ、なんでお前はそんなにかわいいんだよ。
「…テツ、お前はオレのもんだからな。」
お前のせいで、言うつもりのないことも
つい言ってしまったじゃないか。
ああ、顔が熱い。
「…はい。」
テツの、真っ赤な顔でうなずく姿は、
俺のいままでの悩みをすべて吹っ飛ばした。
俺はほんとにテツが好きなんだな。
改めて、実感した。
じゃ、と小さな声で言い、テツに背を向ける。
これ以上顔を合わせたら、心臓が持たない。
そして一歩踏み出そうとして、
後ろから掛けられた言葉。
「…青峰君。僕は、君のことが、大好きです。」
っ!なんだよ、その不意打ちは!
思わず振り向くと、
テツは急いで家に入り、ドアをばたんと閉じた所だった。
思わぬ不意打ちに、頭を抱えてその場でうずくまった。
「テツ、好きだ。どうしようもないくらい。」
小さくつぶやく。




この小さな恋人は、どうやら一生
俺の心を掴んではなさないらしい。



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お久しぶりです、ひなです。
わたしの大好きなフォロワーさんの
緑茶からのリクで、青黒←黄でした。
こっちは楽しんで書いてましたが、
楽しんでいただけたでしょうか?
今回は青と黒のサイド両方同時にUPということで、
いつもより執筆に時間かかりました。
結局黄瀬君が不憫で終わっちゃいましたw
黄瀬クラスタさんごめんなさいです。
今後もこのような扱いになる可能性が…w←


青峰は、
黒→最愛溺愛
黄→子供的な感じだけどテツには寄るな
的な感情抱いておりますw


リクなどいつでも受け付けてますので、
気軽に声掛けてやってください!
最後までお付き合いいただきありがとうございました。




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