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ありがとう、それじゃあまた今度(宮高)



3月1日。


いかにも高校らしい
さっぱりとした卒業式も終え、
今は3年生の先輩たちが
後輩にもみくちゃにされている。
別れを惜しんで泣いている者。
憧れの先輩に想いを伝えている者。
共に笑い合っている者。
そんな光景を、俺は遠巻きに見ている。
本当ならお世話になった先輩に
挨拶に行くべきなのだろう。
しかし、大坪さんや木村さんならともかく、
宮地さんのところになんか行けない。
泣いてしまうから。
ずっと好きだったけど、
もうこれを機に諦めようと思う。
「先輩、すみません」
小声で呟き、教室に帰ろうとした。
「待てバカ尾」
聞きなれた声に振り向く。
そこには宮地さん。
会わないって決めてたのに……
「なんで……」
「なんでじゃねぇよ、轢くぞ」
「ははっ…相変わらずキツイお言葉で……」
駄目だ。やはり泣きそうだ。
顔を見られたくなくて俯く。
「ほら。これやる」
「え?」
ポイッと投げられたソレは
制服のボタンだった。
「それ、俺の第二ボタンな」
「えっ?え?」
第二ボタン?宮地さんの?
それって……
顔が一気に熱くなる。
「これ、ホントに俺が貰っていいんですか!?」
「やるって言ってんだから黙って貰っとけ」
「あ、ありがとうございます!」
嬉しくて、嬉しくて…
油断したスキに涙が流れてきた。
「高尾、今までありがとう。
それじゃあ……また今度」
ニッと笑って、宮地さんは去っていった。
「はい……また、今度…」




卒業おめでとう。




【あとがき】
仲杉です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
卒業式です。卒業式ですよ、皆さん。
黒バス3年生の皆さん、卒業おめでとうございます!



2013.3.1



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あきゅろす。
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