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雨は涙とともに頬を濡らす(火黒)




今日の部活は珍しく休み。
早く家に帰って休もうと思い、
早足に教室を出る。
「黒子、ちょっと待て」
振り向かずとも声で分かる。
「何ですか、火神くん」
いつもより少し不機嫌そうな顔をしているのは
気のせいだろうか。
まぁ、いつも不機嫌そうな顔だが。
「ちょっと、来い」
ぐいっと半ば乱暴に腕を掴まれ
引きずられるようにして連れて行かれる。
「やめてください…痛いです」
抵抗はしてみるも、
なにしろこの体格差だ。
僕が勝てるはずがない。
仕方なく火神くんに身を任せる。
窓の外の暗い雲からは
今にも雫が落ちきそうだった。


校舎裏。
結局火神くんにこんなところまで
連れてこられた。
先程よりも不機嫌そうな顔で、
眉間に深いシワが刻まれている。
「いい加減教えてください。
僕に何の用ですか?」
「………っ」
そう尋ねると火神くんの顔は
真っ赤に染まり…
かと思ったら、今度は慌てた顔になり……
ホントに表情豊かな人だな、
なんて思っていると
ポツッと空から雫が落ちてきた。
……やっぱり降ってきた。
周辺には雨宿りできそうな場所はなく、
僕と火神くんは雨にうたれながら
向かい合っていた。
「あの、火神くん。
とりあえず中に入りませんか?」
そろそろ雨も本格的に降ってきた。
それでも火神くんは頑として
ここを動こうとしない。
「火神く………っ」
僕の言葉は火神くんによって遮られた。
唇と唇が触れ合う。
油断をすれば火神くんの舌が
僕の口内に入ってきそうだった。
「………っは……かが、み…くん…っ」

――――――。

雨が激しい。
火神くんは何かを言った。
「すみません………なにか言いました?
雨の音で聞きづらかったです」
すると火神くんは困ったような、
今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「なんでもない」
ごめんな。
そう言って火神くんは帰っていった。
「……っごめんなさい……」
火神くん、ごめんなさい。
本当は君が言ったこと聞こえてました。
ごめんなさい。
本当は僕も君のことが好きです。
ごめんなさい。
君に悲しそうな顔をさせてしまって。

君のことが好きだから……大好きだから…
僕は君とそういう関係になりたくないんです。
傷付けたくないから。
でも、たった今君を傷付けてしまった。
「火神くん……ごめんなさい………」


雨は涙とともに頬を濡らし、
この過ちを洗い流しているようだった。







【あとがき】
最後まで読んでいただきありがとうございます。
仲杉です。
「夕立のりぼん」というボカロ曲を聴いていたら書きたくなっただけのものです。
即興なのであまり深くないです。

でわ


2013.1.26


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