[携帯モード] [URL送信]

main2 krbs
夢と現と(火黒)



火黒です。つき合ってないです。
一応相思相愛。

_______________________________


電話の無機質な音が部屋に鳴り響く。
ああ、早く出て欲しい。
「…もしもし?」
「もしもし、火神くん」
「急にどうした」
「なんか体がだるいです」
「はぁ!?ちょっと待っとけ、今すぐいく」
そういって切られた電話。
こうしてすぐに来てくれる彼がすごく愛しい。
でも、僕は彼を縛ってしまっていないだろうか?



「黒子っ!大丈夫か!?」
しばらくして玄関から火神くんの声が聞こえた。
「火神くん、早かったですね」
玄関を開けて彼を見ると、
走ってきたのか息がきれていた。
それが嬉しいと思ってしまう自分は
どうかしてるのだろうか。
「お前…とにかく中入ろうぜ。邪魔する」
「はい」



「熱ははかったか?」
「いえ、まだ…ただ体がだるいだけだったので」
「お前はアホか。」
ため息をつきながら、呆れたようにこっちを見る。
「アホじゃないです」
少しムッとして言い返すと、
「はぁ…とりあえず、熱はかって横になっとけ。
顔赤いぞ」
顔が赤いのは、熱のせいだろうか。それとも…
「…はい」
巡り始めた思考無理矢理止めて、
体温計を取りに立ち上がった。



「…で、見事に38℃あったと」
…呆れ顔で言われた。
「どうして熱あるって気づかねえんだよ」
「そんなこと知りません」
「…今氷枕とか持ってくるから、待っとけ」
「はい」
少しムキになってしまう僕は、
彼の目にどんな風に見えているのだろうか。
「…ほんとは、来てくれて嬉しいのに」
「ならもっと喜べよ」
「!?」
まさか、独り言、それも
絶対に聞かせたくなかった言葉を聞かれてしまった。
「聞こえちゃいましたか」
「ああ。だから今日はたっぷり甘えとけ」
そういってニッと笑う君。
そんな君に甘えてしまう自分が嫌で、
布団に潜り込んだ。



「はぁ…今日の黒子、なんだよ」
朝から突然の電話でびっくりしたが、
黒子の体調が悪いと聞いて駆けつけた。
黒子は見るからに熱がありそうだったが、
不謹慎にもほんのり赤い顔の黒子を
かわいいと思ってしまった。
しかも、さっきはあんなことを突然言う。
いつもでは見れない黒子が、
心配ではあるが見れて嬉しい。
そう感じてしまう。
「…とりあえず、お粥作るか」
冷蔵庫を覗いて、中身を物色する。
「黒子、台所借りるぞ。冷蔵庫の中身使っていいか」
「…はい」
少しかすれた声が返ってくる。
返事に少し安心しながらも、顔をしかめた。
「あいつ、少食だしな…食えるか?」
あいつの食べる量にはいつも驚かされる、というか呆れる。
あれでは体がもたないだろう。
余ったら自分が食べる、そう決めて
少し多目に作ることにした。



「黒子、粥できたぞ。…黒子?」
見てみると、少し辛そうな顔で寝ていた。
「…いつの間に寝てたんだな」
脇のテーブルにお粥をおき、
椅子を持ってきてベッドの横に座る。
今ならいいだろう、そう思って黒子の手に手を伸ばす。
「!」
起こしてしまったか…?いや、寝てる。
でも、まさか俺の手を握ってくるとは…
顔が熱い。
そのせいだろうか、黒子の顔が少し和らいで、
呼吸も楽になったように思える。
「…か、がみ、くん」
「な、なんだ、黒子。起きたか?」
突然の呼び掛けに慌てながら応える。
「…好き」
「!!!!」
かすれた声で紡がれた言葉に呼吸も忘れた。
「く、黒子!?」
慌てて大きな声を出してしまう。
繋いでいる手から鼓動が伝わってしまいそうだ。
今の自分は真っ赤だろう。
恐る恐る黒子の顔を覗くと、眠っていた。
「…はぁ。驚かせやがって。」
そして、少し迷い、
「…俺も好きだ。黒子」
聞こえてないだろうから、と思いを口にした。



「…ん…かがみ、くん?」
起きたら、横で火神くんが寝ていた。
そして、気づく。
いつの間にか手を繋いでいることに。
「!?」
「…ん、黒子?起きたか?」
「…おはようございます」
「おう。少し寝ちゃったみたいだな…」
それから僕の顔を見て、
大分よくなったみたいだな、と微笑む。
「お、そうだ、粥作ったんだが、
冷めちまったみてえだから、暖めてくるわ」
そういって立ち上がる。
離れていく背中と、温もりの残った手がすごく嬉しかった。


_______________________________

そういえば、あれは夢だったのだろうか。
僕が好きといい、火神くんも好きと返してくれたこと。
夢でも嬉しかった。
でも、僕は欲深いのだろうか。
また彼を求めてしまう。
気持ちはまだ伝えられそうにはないけれど。



__________________________________

あとがき

お久しぶりです、ひなです。
ずいぶんと更新停滞してすみません…
これから黒バス中心にまたあげていくと思うので、
よろしくお願いします




[次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!