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main1 gintama
アゲハ蝶


桜の香りが鼻をくすぐる。
甘くて、何かに惑わされてしまいそうな香り。
桜の花びらと共にアゲハ蝶が舞う。
黒、白、赤、黄、緑、青…
これだけの色を持ちながら、
なぜお前は美しく舞える?
なぜその重さに負けない?
普通なら、あいつのように
重さに耐えきれず堕ちてしまうはずだ。




「俺、もうお前とはいられない」

それは突然、あいつの口から聞かされた。
俺が「なぜ」と聞いても
何も答えてはくれなかった。

「もう、色んなものを背負うのはイヤなんだ」

これだけ言って、奴は何処かに消えた。
もちろん、俺は街中探した。
でも見つからなかった。
万事屋に行き、メガネとチャイナに
心当たりはないかと聞いたが、収穫なし。

(銀時…どこに行ったんだ…?)

なんとも言えない感情が渦巻く。
あいつは、背負うのがイヤだと言った。
お前はなにをそんなに背負い続けてきた?
俺から離れれば、その荷は降りるというのか?

いけないと分かっていた。
触れてしまえば戻れないことも分かっていた。
それでも、2人で歩もうと誓った。

…そんなに俺に想われるのが……
俺のことを思うのが辛かったのか?

「結局、俺のせいだってことか」

少し落ち着こうと煙草を手に取る。
俺がいない方があいつの幸せなら、
俺は喜んであいつの目の前から消えよう。

まるで、銀時はアゲハ蝶のようだ。

ヒラヒラと気まぐれに飛び回り、
捕まえようとしてもその気まぐれさ故、
するりと手からすり抜ける。
背中に背負っていたものは、
色彩豊かな羽根のよう。

だけど、お前はアゲハ蝶のように
きれいに舞うことが出来なかったんだな。




気付いたときにはなにも背負っていなかった。
背中は軽いけど、心は重い。

本当は…もっときれいに飛びたかったんだよ?



END




〈あとがき〉

仲杉です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
ポルノグラフィティさんの「アゲハ蝶」を聞いていて、閃きました。
切ないです。
よく読むと、銀さんの名前ばっかで、土方さんの名前を出すのを忘れてます。
アゲハ蝶はきれいですが、幼虫は受け付けません。




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