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main1 gintama
残暑が厳しいようで



「ひじかたぁ」
「何だ?」
「あーつぅーいー」
「知らん」
さっきからこれの繰り返し。

土方は熱心に仕事を、
俺はその横でゴロゴロしている。
にしてもやべーよ。
暑いよ。
もう夏も終わりだっていうのに…
「なんで土方は
そんなに涼しい顔で仕事できるのさ」
「暑いと思うから暑いんだ。涼しいと思え」
「ムリー!」
全然答えになってねーし。
というか、ちっとも俺にかまってくれないし。
……なんか、最近土方は冷たい気がする。
近くにいるのに、距離が遠い。
もしかして、俺が仕事の邪魔したからかな。
それとも、酒呑んで酔っ払ったときに迷惑かけたからかな。
理由を考えると、あとからあとから次々と出てくる。
そもそも、俺とアイツって釣り合いとれてるのか?
一方は真選組、鬼の副長。
仕事もなにもかもきっちりこなす色男。
一方は自営業の万事屋。
仕事もろくにしてないダメ男。
それに加え、元攘夷志士。
………どう考えても釣りあってねぇぇぇぇ!
ホントに、俺が土方といていいのかな?
土方は……どう思ってるのかな?
聞きたいけど、恐くて聞けない。
いつもなら、あんなこともこんなこともしちゃうのに、
どうしてこういう時は臆病になっちまうんだ…
いや、いつでも臆病か。
「……ずやっ……………おい!万事屋!!」
「ふぇ!?」
気が付くと、土方が俺のことを呼んでいた。
「いつもより静かだと思ったら…
どうした、ぼーっとして。
体調でも悪いのか?」
「いや、大丈夫…」
聞きたい。
土方が俺のことをどう思ってるのか。
「あのっ……土方!」
「なんだ?」
ダメだ。聞けない。恐い。
俺が言葉に詰まって下を向いていると、
土方の小さな、ホントに小さなため息が聞こえた。
「知ってるか?
お前はけっこう考えてることが
表に出るから分かりやすい。
どうせ、俺とお前の釣り合いがとれてるかとか…
そんなことだろ」
………図星すぎてなにも言えない。
「お前がそんなこと考える必要ねぇよ。
はっきり言うが、
俺は要らないと思ったものはすぐに捨てる。
気に入ったものはずっと手元に置いておく。
お前に余計なこと考えさせちまったのは悪かった。
ちょっと暑さにイラついて冷たくなっちまった……
安心しろ、俺はお前を捨てるつもりはねぇよ」
優しく語りかけてくれる土方。
そんなに優しくされたら…
堪えるより先に目から涙が溢れた。
「こ、んな俺に………優しく、
なんか…すんな……ばか」
「泣き虫。ほら、涙ふけ。
気分転換に、甘味処にでも行くぞ」
「……………奢ってくれよ?」
「奢るか、あほ」

夏はもう終わりそうだけど、
愛という名の残暑は
これからもずっと厳しいようだ。



END





〈あとがき〉

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
ホントに暑くて溶けそうです。
今回は若干切ない感じにしてみました。
愛=残暑っていうのは、少し寂しい気がしたのですが、甘くて切ない感じの話なので、逆にいいかなと思います。
ちなみに、このあと土方は甘味処で奢らされる羽目になりました笑




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