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main1 gintama
キスの味



仕事もなく、金もなく、気力もなく、
ひたすら万事屋でゴロゴロしていた。
こんな時こそ、土方逢いにきてくれないかなぁ


――――ピンポーン…


軽快なチャイムが鳴り響く。
もしかして………土方!?
焦る気持ちを抑えて、
少し早足で玄関に向かう。
「はぁーい、どちら様ですかー?」
「相変わらず暇そうだな、万事屋」
扉を開けると、煙草をくわえ、
副流煙をそこらじゅうに撒き散らしている
黒髪の男、土方がいた。
「あれ、土方じゃねーか。どしたよ」
「ちょうど近くまできたんでな。
ついでにと思って」
ついでに、がちょっとイヤだけど、
そこはアイツの強がりだと思って見逃そう。
でも、逢いにきてくれたのはすっげー嬉しい。
「そうなのか、まぁあがっていけよ」
俺は上機嫌で土方を家にあげる。
あ、せっかく来てくれたんだし、
なんか菓子でも出してやるか。
そう思い、台所を物色してみるが……
(なんにもねぇなぁ…)
唯一見つけたのが、
いつ誰が買ってきたのか分からない缶コーヒー。
さすがにこのままでアイツに出すわけにはいかない。
近くにあった、
これまたいつ誰が買ってきたのか
分からないマグカップに注ぐ。
「ほらよ、これでも飲んでけ」
「お前にしては気が利くじゃねーか」
「そりゃあ好きな子のためなら、
銀さんなんでもしちゃうよ」
うっせー、と土方が顔を赤らめながら
小さい声で言い、コーヒーを啜る。
可愛いったらありゃしないぜ。
土方観察をしていると、不意に目があった。
「んだよ……おめぇも飲みたいのか?」
「いや、いいよ。だってコーヒー苦いじゃん。
よくそんな苦いもの飲めるな。
俺は糖分王になる男だから飲めねぇ」
「んなこと言ってると、
糖尿病になるぞ腐れ天パ。
ちょっと飲んでみやがれ」
土方に強引に勧められ、恐る恐る飲んでみる。
「うぇ…やっぱ無理ぃ……苦い…」
なんだあのコーヒー!思った以上に苦いぞ!!
「土方のばかっ!こんなもん飲ませんじゃねぇ!」
「飲んだのはお前じゃねぇか!
いやならきちっと断りやがれ!」
「もー怒った!ちゅーしなきゃ許してやんねー!」
今のは冗談で言ったつもりだった。
でも土方は、隣に座っていた俺を押し倒し、
唇を重ねてきた。
コーヒーの苦味と、
アイツの煙草の匂いが広がる。
「ん…っ……ハァ…」
いつも通りの少し長めのキス。
「……こんな苦いキスは初めてだよコノヤロー……
でも、悪くは…ない、かな」
最後のほうは掠れるくらい小さな声で
言ったつもりだったが、
土方には聞こえていたらしい。
「だろ?だから糖分控えやがれ」
相っ変わらず、憎まれ口なんだよな。


最後くらい、甘く締めてほしいもんだよ。



END




〈あとがき〉
初めまして、仲杉といいます。
初投稿となったこの話ですが、
いやー、BL考えるのって恥ずかしいね!w
でも楽しいです。
銀さんは甘党なので、勝手にコーヒーは苦手という設定にしましたが……
私はコーヒーはブラックでもいけます。
でもあまり飲みません。
眠気覚ましに、ということが多いです。
好きな飲み物は紅茶です。
まだまだ文章力のない私ですが、これから精進していきます。
よろしくお願いします!



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