カラダじゃ足りない おわりというはじまり “俺、死ぬのか” そのときふとそう思った。 さっきまで俺を殴っていたやつの一人が ナイフをこちらに振り上げる 思えば最初から禄な人生じゃなかった ここらで終わってもなんの悔いもない ハァと小さく息を吐き、目を閉じる。 ふと両親の顔が思い浮かぶ 最後に見たのはいつだったか… その時の俺はかなり小さかったはずだ 「まんまと置いていきやがって… いま、いくよ。」 フッと小さく笑ったあと 金沢歩は生きる望と共に意識を手放した。 コツコツと聞こえてくる音さえ 気にもならずに歩は深い意識に堕ちていく その後行われた契約を知らず ただ横たわる青年の姿は スーツ姿の妖艶な男の目に ギラリと映し出されて。 [戻る] |