[携帯モード] [URL送信]
〜神話Y〜巨人族滅亡後 5種族の全面戦争(紀元前586)
 巨人族滅亡後、いち早く立ち直り種族をまとめたのはエルフたちであった。しかし、巨人族ほどの統治性がなかったために他種族から不満の声が上がり始める。中でもオーク達は、自分たちよりひ弱な種族を君臨していることは我慢できないと、実力行使にでたのだ。

 オーク族はエリゴ地方(エルモアの北方にある地域)にヘストゥイ部族を中心とする主君制国家を作ると、エルフ達に反乱を起こした。今まで平和に暮らしていたエルフ達が、軍事と治安を担ってきた武力経験豊富なオーク達に敵うはずもなく、彼等は大陸の片隅へと追いやられる。

 この状況を打破すべく、エルフの女王ベオラは他種族への支援を要請した。莫大な資金と優秀な武器を持つドワーフ、機動力と情報収集能力に長けたアルテイア族へと使者を送ったが、ことごとく断られた。現実主義者の実利を重んじるドワーフ達は、有利に立っていたオークを支援した。自由を好むアルテイアは、大陸の覇権自体興味がなく、戦争を避けて更なる大陸の奥地へ去っていった。

 ことごとく支援者を得られなかったエルフ達だったが、彼らの前に一人のヒューマンの男が現れる。木の枝で編んだ王冠を被ったのは、ヒューマンの長であった。彼は協力を申し出てきたのである。

 能力が低いヒューマンだが、その数の多さは力になると考えたベオラは、勝利した暁にはヒューマンをエルフに次ぐ地位を与える事を約束したが、ヒューマンの長はそれを断わり、代わりに魔法を教えてほしいと頼んだ。

 大胆な申し出に激怒したベオラだったが、たとえヒューマンに魔法を教えたとしても自分たちより優秀な存在になるとは思えなかったし、魔法なくしてオークとの戦争に勝てないと考えたからだ。

 こうして同盟結成後、ヒューマン達は驚くべき速度で魔法を習得していった。また、長きにわたって奴隷として肉体労働を強いられてきた彼らの肉体は強靭で、手先が器用で武器の扱いにもたけていた。エルフとヒューマンの連合軍はオークの軍隊を退け、やがてヒューマンはエルフの支援なしでも戦いに勝利するまでに力をつけていく。

 これを見ていたドワーフ達は、エルフとヒューマンの連合に加勢し始める。ドワーフ製の優秀な武器を手に入れたヒューマン達は、さらにオーク達をエルモア北部まで押し続け、30年あまり続いた大戦はエルフとヒューマンの連合軍の勝利で幕を閉じた。オーク達は屈辱的な平和条約を受け入れ、本来の本拠師である『黒い森』まで後退を余儀なくされたのだ。

[*前へ][次へ#]

5/10ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!