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小説
1話 入学
「…ここがオレの学校か…」

まぁ、痛い奴などと思わず心の声を聞いてくれ。
オレは、稚野 來香(わかの らいか)。
一人称は“オレ”だが、女だ。
誰だ。今、男女とか言ったのは。
ぶっ飛ばすぞ。

「お前か?今日からここへ入学するというのは?」

そーんなことを考えていると、見た目から優しい男が話しかけてきた。

「おぅ、そうだ。」
「そうか!!ようこそ!!
俺は、徳川家康だ!!よろしく。」
「オレは、稚野來香だ。こちらこそ。」
「…?」

オレが自己紹介すると、家康は分かりやすく、頭に?を浮かべていた。

「オレは女だ。
ただ、一人称が“オレ”なだけ。気にすんな。」
「…おぉ、そうか。
早速だが、理事長に会ってもらおう。」
「おぅ。」

そう、連れられオレは理事長室へ向かった。
その間に、家康が2-Aという事と、生徒会の人ということが、わかった。

コンコンッ

「開いてるよぅ♪」

…子供?
ドアを叩くと子供の声がしたので、もしかして理事長は子供なのかと一瞬思った。

「來香、いくぞ?」
「どぞ。」

キィィィ…

と、少し古びた洋館の扉のような音をたて、
ドアが開いた。
後々考えると、これは普通な日々から抜けだした扉、とも思えてくるのだが…

「ぅお前がぁ、転校してきた稚野來香かぁ」
「はい」
「なんかお前、子供っぽいな」

理事長…織田信長と書いてあるプレートの乗った隣から、
ドアを叩いた時の子供の声が聞こえた。

「蘭丸の方が強いよね♪」
「自分の身長見てから言えよな」
「なっ!?何を「やめなさい!蘭丸君!」
「気が短い男は嫌われますよ、クッフフフフ」

理事長の机の両サイドにいた大人の2人が、
蘭丸と名乗った子供をとめた。

「フハハハハハハ…
お前はぁ…面白い奴だなぁ…
クククク…早く教室へ行け。」
「どこですか?」
「職員室へ行け、さすれば分かるわっ
フハハハハハハハww」

失礼しまーす
と、ふぬけた挨拶をし、家康の案内で職員室へ行った。

「じゃあな、來香!俺は自分のクラスへ行くからな!!」
「おぅ!」

そんな事を言い残し、家康は去っていった。

「そうだ、來香。」
「ぅうわぁあっ!?教室に戻ったんじゃ…」
「ちょっと言いたい事があってな。」
「?なんだ?」
「來香は2年だろ。
もし同じクラスになったら、覚悟しておけ。」
「?」
「つわもの揃いだからなwww
じゃあなっ!」

なんだアイツとか思い、家康の忠告などまるで無視していた。
未来の自分から過去の自分に一言言おう。
家康は生徒会だ。

「む?なんだ、貴様は?」

未来から過去へ話しかけていると、
現在で、話しかけられた。

「今日転校してきた、稚野來香です。」
「貴様か、転校してきた奴は。
私は雑賀孫市だ。付いて来い。」

お互いに自己紹介をしながら歩き始めた。

「お前は私のクラスだ。」
「何組っすか?」
「Aだ。」
「おっ、家康と一緒じゃん」

知らない人ばかりだとさすがに気がひける。
1人くらいは知ってる奴がいないとなぁ。
などと思っているうちに、2-Aについた。

「少し待っていろ。」
「はぁい」

ここは廊下で待たせるタイプか。

「入れ」

ガラッ

あたりを見回すと…
やっとここで家康が言った言葉が身に染みた。
なんかもう雰囲気が怖いw

「自己紹介をしろ」
「…ぁあ、ああ…
オレは稚野來香だ、よろしく。
漢字を読み間違えないでほしい。」

簡単な…
というか、名前と自分が嫌いなことを言って
自己紹介は終わった。

「來香は、家康の隣へ行け。」
「ほい。」

席へつき、家康に声を掛けようとした時、

「今日はしょうがないから、これでHRは終了だ。
号令をかけろ。」

はい。
といい、家康が号令をかけ始めた。

「ー礼」
“ありがとう御座いました!!”

元気いいなー、と思っている途中で、前の子が話し掛けてきた。

「やぁ、初めまして♪
俺様、猿飛佐助って言うの。
よろしくね、來香ちゃん♪」
「おぅ、よろしくな、佐助。
オレは來香でい「佐助ぇっ!!破廉恥っ!!」

いきなり赤い鉢巻きをした男が佐助の頭を殴った。


「何がだよぅ、旦那ぁ」
「ななななんぱなどぉ!!?」
「…独眼竜だね、変な事を旦那に教えこんだのは」
「Ha!!証拠でもあんのかぁ?」
「旦那は横文字苦手だから」

オレの目の前でどんどん会話が進んだ
オレを取り残したままなっ!

「お前ら誰」
「Oh…肝が座ってるっつっーか、
なんつーかなGirlだなぁ…」
「なんかムカつく」
「某は、真田幸村でござる!」
「…なんか可愛いなぁ、コイツ
目がクリッとして、なんかちょっと緊張気味なとこも…」
「俺は、伊達政宗だ。」
「お前は…
どちらかと言うと、格好いい方だな」

そう言って2人を誉めると、
みるみるうちに顔が赤くなっていったw

「猿飛、政宗様が迷惑をかけたな。」

様?今時、様?

「失礼、俺は片倉小十郎だ。」
「よろしく」

まぁ、オレも一人称がこれだから聞かないでいよう。

「らーいーかーちゃん!!
俺と仲良くしようよ!」
「誰?」
「俺は、前田慶次。
で、こっちが夢吉」
「ウキッ!」
「かーわーいぃー
なぁ、慶次!夢吉抱っこしたい!」
「だってさ、夢吉」
「ウキュッ」

突然現れた慶次は可愛い猿と共にいた。

「はぅ〜…
幸せだぜぇ…」
「お前女っぽいのか、
男っぽいのかわからないなw」
「ぅうるせぇ」
「やっと、来られました!!
來香ちゃん、お友達になりましょう☆」

夢吉を撫でまくっていると、
ショートカットの可愛い女の子が
話し掛けてきた。

「慶次ぃ、夢吉返す
いいぜ、可愛い子は大歓迎だ!」
「まぁ、可愛いだなんて…
私は鶴姫です!!
このクラスの数少ない女の子です!」

そう、鶴姫に言われて改めて教室をみると、
確かに女子の数は少なかった。

「お前ら、授業が始まるぞ。」
“ふぁーい”

オレの周りに集まっていた生徒達は、
自分の席へと戻って行った。

「改めてよろしくな、家康。」
「あぁ、俺はこのクラスの委員長でもあるからな。
わからない事は聞いてくれ。」
「おぅ、任せた!」

キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン

一般的な学校のチャイムがなり、
授業が始まった。


キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン

授業は進み、今は昼休み。

「來香は弁当?」
「んにゃ。購買の場所教えてよ、佐助」
「いいよ♪」
「あれ?幸村は?」

休み時間になるといつも佐助の所へ
来ていた幸村がいないことに気がついた。

「旦那はねぇ、
団子が取られないように先に行くんだよ」
「早く行こうよ、佐助!!」
「自分からふっといての無視!?」

佐助と会話をしながら購買についた。

「こりゃ争奪戦だね…」

まぁ、普通に人が群れていた

「來香は何食べたい?」
「焼きそばパンとメロンパンだけど?」
「ちょっと待っててね」

そう言うと佐助は人混みの一番前まで飛んでゆき…
って、飛んでゆきぃ!?
ジャンプでそこまで…
猿なのか…

「?來香殿?どうされた?」
「おぉ、幸村。
いやな、佐助がオレの分のパンも
買ってきてくれるらしいんだけど…」
「あぁ、佐助の前世は忍者なのだ。」
「え?」
「今でもそういう教育もされているらしいぞ」

そういうて…
忍者を育ててるのか…
世の中何があるか分からないな

「お待たせぇ、ほい」
「…うん、ご苦労ご苦労w
いくらだった?」
「いいよ、
今日は入学祝いということで」
「ありがとう」
「來香って時々女っぽいから…」
「なんか言ったか?」
「別に」

こんなたわいもない会話をした後、
2人がいつも昼を食べるとっておきの場所へ行った。
そして昼を食い終わった後、教室へ戻った。

「來香ちゃん!!
どこへ行っていたんですか?
私、心配したんですよ?」
「ごめんねぇ、鶴姫ぇ」

教室に入ると鶴姫が出迎えてくれた。
まぁ、心配させてたけど

ブンブブンブンッ!!!

突然超うるさい音が聞こえた

「っるせっ!」
「あれは、長宗我部だぜ」
「お、いたのか政宗。」
「おまっ、ひどっ」
「で?そのぉ、ちょうそかべとは?」
「うちのガッコのうるせぇ応援団だ。」
「なんで誰も何も言わないの?」
「面倒くさいから。」

なんだその理由…
と言おうとしたがやめた。
言うだけ無駄な気がしたからだ。

「じゃあ行くわ」
「どこに?」
「ちょーそかべさんのとこ」
「アイツ面倒だぞ?」
「ん〜…
じゃあ行くか、Let's go!!」
「What!!??」

うるさくバイクがなる校舎の音に政宗の声は
かき消された。

「いくぜ、野郎共ぉ!!」
「アァニキィィィ!!」
「…何あれ、アニキとか寒いんだけど」
「それがアイツ等だ。」

まじかよと思いつつちょーそかべ(漢字が分かってない)逹の前に出て行った。
ちなみに、ちょーそかべも2-Aだという。

「よぅ、ちょーそかべ!」
「誰だそこの姉ちゃんは?」
「オレは今日転校してきた、稚野來香だ!」
「おぅ、そうかい。
で、何か用事があったんだろ?」

ここまで会話が成り立ったのが少し不思議な位だ。
なんせバイクの音がうるさいから。

「〜さい!!!!!」
「ぇえ″?なんて?」

あぁ、面倒だ
いっそ壊してしまおうか
そこにあったパイプをとる。

ガンッッ!!!

完全に壊れた音をしてバイクが倒れた。

「なっ、何しやがんでぃ!!?」
「來香ぁ!?」
「てめぇ、女だからってっ!?」

スッ

「女だから、何?」
「來香…」

オレはバイクを殴ったパイプを
今度はちょーそかべの喉元に当てつけた。

「実はオレ小学生の時に世界大会で1位になったんだ♪
剣道のさ♪」
「それだけかぃ?」
「お、分かる?
空手、柔道、合気道、
子供スポーツクラブとか、色々いってた☆」
「…バイクをやったのはちと頭にくるが…
面白い奴だなお前」
「お誉め頂き光栄で。」
「野郎共!!バイクを止めろ!!」
「改めて、よろしく來香。
俺ぁ、長宗我部元親。」
「よろしく、元親。」

こうして騒動は一見落着した。
ちなみにバイクはなんとかなるそうだ。

「Coolで格好よかったぜ、來香」
「そうか?普通じゃね?」
「來香行くぜ!」
「おい!長宗我部!
來香を連れてくな!」
「教室まで競争しようぜ、元親!」
「おぅ!」
「俺は無視かっ!?」

こうしてオレの初登校日は終わった。


「くさい芝居するぜまったく。」
「來香にはぁ、関係ないだろぅぃ」
「今日うちで鍋すんだ。
信ちゃん、濃姫さんとおいでよ」
「考えておこう」

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