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2.真夜中の追悼(6)


 3人の待つ墓場の入り口へと戻ると、そこには御船先生もいた。轟木先輩の肩を肘置きがわりにして立っている。
 先生はその場にボクらが揃うと、薄笑いを浮かべて口を開く。
「お前ら、俺に報告することがあるんじゃねぇか? なあ? アル」
「先生、アルに話振りながら俺に体重かけんのやめてください」
 御船先生から目を逸らした教授じゃなくて、轟木先生が言った。しかしそれは完全に無視される。
「あの墓標のとこまで行ったんだろ? なら、見たはずだ。墓標の名前を」
「藤色藤咲」
 蝶野が何気ない調子でその名前を口にした。
「墓標の最後にあったよ、藤色の名前が」
「そうか」
 御船先生が轟木先輩から腕をどかす。そこはかとなく満足そうな笑みを浮かべていた。
 彼の他に蝶野の言葉に反応した奴はいないから、たぶん、みんなあの名前に気づいていたのだろう。つまり教授は、藤色藤咲の名前に気づいていながらボクに何も教えなかったのだ。
 まあそれはいいとして。
 御船先生は言うことは言ったとばかりに、「帰るぞ」と踵を返す。
「はーい」
 蝶野が素直に従い、それに続くようにボクらもぞろぞろと歩き出した。
 真夜中の……時刻はおよそ1時くらいだろうか。ボクらは少し時期外れの肝試しを終えた。

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