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1.放課後課外(1)




 4月26日、火曜日。ゴールデンウィーク2日前。
 晴れ渡った青空には太陽がきらきら輝き、そして放課後の校舎には放送がガンガン響く。これが天と地の差というやつか。
『皆さん、本日は全校一斉の放課後特別課外の日ですよーっ!!』
 テンションの高い橘の声がスピーカーから流れ出て、脳髄をガンガンと叩く。
『今回の課外は乱闘バージョンですね!! 確認の意味も籠めて、ルールの説明をします。まず、1人1つ、部屋番号の書かれたバッチを持っていますね? これは皆さんの命です。損失破損はもちろん、誰かに奪われてもいけません。命になんらかのダメージを受けた場合は脱落となります。皆さんは自分の命を大切に、制限時間ずっと守り抜いてください。ただし、ただ守るだけではなく、他者のバッチを奪う必要もあります。最も多くのバッチを奪った人には、次の定期試験の得点を1科目につき30点上乗せしますので、勉強が苦手な人にオススメです。なお、制限時間は3時間で、行動範囲は高等部敷地内の、体育館を覗いた範囲になります。脱落者は速やかに体育館へ行ってください。ちなみに、私、橘ルシエは不慮の事故による怪我のため、本日は課外に参加せずに実況放送をさせていただきます』
 全治1ヵ月とかだっけか。橘も難儀だな。楽しそうだけど。
『それでは皆さんっ、わたしの喋っている間に準備運動は終わりましたか? しっかりと散り散りになりましたか? 10秒後に課外が開始しますよ。カウント、10……9……』
 橘が秒読みを開始した。
 教室にはボクしかいなくて、みんなは各々、好きな場所からスタートする。それ以外のルールは橘が言ったとおりだ。強いていうなら、殺しや必要以上の攻撃が禁止ということくらいか。
 ちなみに現在時刻は午後の3時、数秒前。これは午後の授業を1つ削っての課外というわけだ。
 そしていま、橘の『ゼロっ!!』という叫びと同時に、時計の針がカチリと動き、時刻は午後3時丁度となった。
 実戦想定の放課後課外の幕開けだ。

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あきゅろす。
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