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7.決戦(3)
「さあて、俺はゆっくりと休ませてもらおうかね。なんてできるわけねぇか。全く、どいつもこいつも暇なのねぇ」
 “人間”をソファーに横たわらせてから、夏目は羽織っていた白衣を脱ぐと、それを“人間”に被せる。
「コソコソ隠れてねぇで出てこいよ。隠れんぼなんてやりたくねぇのよ、俺」
「そうかい。そりゃよかった。これから叩き潰さなきゃなんねぇ奴が、平和ボケしたクズ野郎じゃなくて。嫌いなんだよ、そういう奴」
 そう言って事務所に踏み込んだのは、繋ぎの服を着た青年だった。その目元は、ゴーグルのせいで窺い知ることはできない。
「奇遇だな。俺もそういう輩が苦手なのよ」
「気が合いそうだ。だから始めに名乗っておく。俺は“ゲバルト”」

「司るのは――――『暴力』」

 青年――“ゲバルト”はゆっくりとゴーグルを外す。光をも飲み込む暗黒の刻印が、その左“眼”に刻まれていた。
 その彼に応えるように、夏目は左のカラーコンタクトを外し、自らの“眼”を晒す。
 それぞれの“眼”が、静かに互いを見据えた。

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