キャラメル (story) 浮かぶもの(フリガイ) 瞳に湛えた静かなる青い凪。 一筋の金色。 貴方は、還りたい場所。 浮かぶもの 「ガルディオス、伯爵。…入ってもよろしいですか?」 陛下の部屋のドアを軽くノックして、返事を待つ。 はい、とよく通る声が聞こえてすぐ笑顔と共に扉が開けられた。つられて思わず微笑み返す自分がいる事に、どこか安堵を覚える。 「珍しいですね、フリングス少将。今日の軍務は終わったんですか?」 国主の飼うブウサギに丁寧にブラッシングを始めた彼の向かいに座る。 自分の名を持つ動物が彼の膝の上で気持ち良さでうたた寝していて、…羨ましさを感じずにはいられない。 「いえ、少し休憩を…。何処からか仕事があまりにも回ってくるので」 「ははっ、全く陛下にも困ったものですよねぇ」 なぁアスラン、と言われて心臓はひどく高鳴る。 やはり…私じゃない、か。 思わず顔に出た苦笑に、何故か彼の方はうろたえ始めて。 [次へ] [戻る] |