パラレル ロマンチストの告白 (リボツナ) 「またきてる・・・・・」 俺はそう呟いて、はぁ、とため息をついた。自分の下駄箱の前で。 沢田綱吉(俺)は平凡な男だった。 17歳の高校男子にしては小柄で、体型もほっそりしている。色素の薄い中性的な容姿をしているが、人目を集める類の美貌を持っているわけでもなく、頭もさほど良くない。 やけに特殊な友人を持つ以外、本当に平凡な俺。と、本人も思っていた。 だが、日常は突然変化するらしい。 それは、ある日の放課後。 珍しく一人で帰ることになった、平和な午後。(獄寺は呼び出し、山本は部活) 残念そうにしていた二人には申し訳ないが、静かに下校することのできる今の状況は密かに嬉しい。 比較的軽いはずのバッグに、山本が護身用にとくれたバットと獄寺からの爆弾が重い。(いろんな意味で) 特に山本の、渡してくれたときのさわやかな笑顔が怖かった。 「二人とも、なんであんなに過保護なんだろ」 ツナは最近さらに強くなってきている親友たちのアピールを、過保護と解釈している。 「やっぱ二人に比べるとちびだからなぁ・・・・・ダメツナだし・・・・・」 ぶつぶつと呟きながら下駄箱を開けると、見慣れた靴の上に、白いメモが畳んでおいてあった。 「なんだこれ・・・・・?」 一瞬、俺の青春がやっと・・・!!と思ったが違うだろう。 容姿端麗な友人たちがそばにいながら、地味な俺を好きになる子はいまい。 「となると果たし状・・・・?」 なるべく避けて通りたい問題だが、無視をするほどの根性もない。 おそるおそると、真新しいメモを開き見る。 『恋の悩みほど甘いものはなく、恋の嘆きほど楽しいものはなく、 恋の苦しみほど嬉しいものはなく、恋に苦しむほど幸福なことはない。 byアルント』 「・・・・なにこれ」 それは、いかにも恋文!!ってかんじのものだった。ツナの経験値から見れば、それは立派な恋文だ。(しかも詩?とは・・・・・) しかし、高尚すぎるメモに綱吉は疑問を抱くばかりで、送り手の真意がまったく分からない。 一瞬アルントさんなんて知り合いにいたっけ?なんて考えてしまった。 それは殴り書きのようではあるが、とてもきれいな字で書いてあった。 普段から文学や詩とは程遠いツナだが、描かれてある言葉は珍しいことに素直に「いいな」と思えるものだった。(意味はよくわからないが) 少し悩んだが、この美しすぎるメモは、ゴミ箱に捨てるのもなんだか場違いなもののような気がして、綱吉はそれをかばんに入れて持ち帰った。 持ち帰ってみたものの、やはり捨てるのがもったいなくて、結局、綱吉の机の引き出しに保存することにした。 それからというもの、たびたび綱吉の下駄箱にはそのメモが入っているようになった。 毎回違う言葉が書いてあるそれは、やはり綺麗な字できちんと書かれていて、綱吉の引き出しに溜まり続けていた。 正直、処理に苦しんでいる。 「でもなんか、毎回楽しみにしてないか?俺・・・・・・・」 その恋文事件(仮)と同じ時期から、何故か一つ下の男子生徒であるリボーンが下駄箱付近で目撃されている事をツナが知るのは、もう少し先のお話。 恋愛は常に不意打ちの形をとる by立原正秋 ロマンチストの告白 あれ・・・・・・ リボツナ・・・・・? 出会って・・・・・ないよね・・・ リボ様が変にマメで健気な物が書きたかっただけです シリーズにしようかな〜と思い、 いろいろ調べたのに (´Д`)/ 結局、一話完結に。 [戻る] |