パラレル 2 外気に触れて、自分の身体がいっそう敏感になる。こんな身体を、彼女に触れられるのか。鳥肌が立っている私の身体を、ツナはどう思うだろう。身体が硬くなる。やっぱり嫌だと口を開こうとした瞬間、温かいものが胸を触り、全身が総毛立った。 「!」 「うわぁ、やわらかぁい…!」 体温高いね、リボーン。そう言ってはじゃぐ彼女の声に生返事をする。 これは、擬似セックスだ。 わかってしまった。 無意識に、肌が重なっている。 吐き気が起こる気がした。 なんて渇いた行為なんだろう。 引き返さなければ。今すぐに。 「…ねぇ、やっぱりちょっと、寒い」 固く聞こえないように。ツナが申し訳なく思わないように。 こんなときでも、そんな風に気をつけてしまう。だって私にとってツナは特別だから。そしてツナにとっては私は単なる友達でしかない。 「あ、ごめん。わかった、もういいよ」 シュンとしたツナの声。でも、私は励ます言葉が見つからない。いかにさりげなく服を着るかに注意をしていた。 どれだけ小さな動きでブラジャーを着けられるかに神経を研ぎ澄ました。パジャマのボタンを閉めると、感じた以上にに上半身裸が冷えていたのだとわかった。 「…もう寝よう?」 ツナに背を向けて呟く。そういえばツナは私が服を着る動作の時、どうしていたのだろうか。見ていかもしれない、のを、同性なのに気にするのは可笑しいのだろうか。 少し考えていると、背中の布が軽く引っ張られた。たぶんツナが引っ張ったんだろう。私は振り向かずに囁いた。 「…何…?」 「……怒ってる?」 ツナの細い声は本当に小さくて、たぶん夜じゃなかったら消えていたかもしれないくらいだった。 「…怒ってない」 「ほんと?」 「ほんと」 怒ってなんていない。ただ、堪らなく怖くなった。自分達が、自覚なしにしていた行為が、どんな意味を持っているのか気付いてしまって。 友達の一線を、何の気無しに越えようとしていたのが、とても気持ち悪かった。 ツナは好きだ。たぶん恋愛も少し混ざっていると思う。でも、それでもツナは私の中では綺麗で無邪気な存在だった。それを自分を使って汚そうとしていた。嫌だった。 「…ならいいや。おやすみ」 ゴソゴソと音がして、温もりが離れていくのを感じた。たぶん、ベッドの端にいったんだろう。 さっきはあんなに近かったのに、今はこんなにも遠い。 でもしょうがない。神聖なものは、近づきすぎてはいけないのだ。守る資格も与えられていないような私に、ツナは毒みたいになっていた。 もしかしたら、私はツナをどうにかしてしまうかもしれない。 自分の中の独占欲だとか嫉妬が、ツナを傷つけたり汚したりしてしまう。それが、凄く怖い。 これでいい。さっきまで、世界に私達二人だけみたいだった。そんな時間があった、それだけで十分だ。 初恋なんて、こんなにも儚い。そして消えにくい。 聖域 貴方は私の、かけがえない綺麗なもの 常識人なリボーン♀さん。 中学生って、こんな時ありませんか…? こういう、危うい友情が好きです。 ツナの家にお泊り中です。 [戻る] |