パラレル オオカミと小猫 リボーンと、男は名乗った。 「リボーン……?」 日本人じゃ、ないんだ。と呟けば面白そうに苦笑された。俺が東洋人に見えるか、と。少し考えたが、見えなかった。 「おまえは、なんて名前だ?」 「…綱吉、だとおもう」 「思う?」 「みんなは、つなってよぶ」 リボーンは俺の頭をよしよしと撫でると、俺の手をひいて歩きだした。カツカツと靴の綺麗な音が響いてカッコイイなと思った。 久しぶりに出た外は風が冷たい。身体を縮こまらせていると、リボーンがマフラーをくれた。ちょっと長くて重いけれど、巻くととても温かかった。 「これから、どこにいくの?」 「そうだな……とりあえず奴らから逃げねぇと」 イタリアにでも行くか、とリボーンは笑った。イタリア……外国かぁ。 「つな、英語しゃべれないよ…」 「ばか、イタリアはイタリア語だ」 とりあえずおまえは笑っとけば、そのうち覚える。そう言うリボーンの大きな手に俺はペタリと頬をくっつけた。 「しゃべれなくても、リボーンは僕を捨てない?」 「捨てねぇ。ずっと一緒にいて、お前を守ってやるぞ」 寒い風が吹いた。二人の周りには誰もいない。吐き出した白い吐息は空気に溶け込み見えなくなった。 「……つなをころさないの?」 「お前は殺さない」 「なんで?」 お父さんとお母さんはアンサツしたのに、リボーンは僕を殺さずに屋敷から連れ出した。 僕は、お父さんからもお母さんからも「いらない」と言われたのに、リボーンはそんな事はないと言ってくれた。 「ガキは殺したくねぇ。それに、ツナは家族になってくれるんだろ」 家族は殺さない。と言ったリボーンの横顔が淋しそうに見えて、繋いだ手をツナは離すまいと強く握った。 「…家族だから、つなもリボーンを守るよ」 例え行き着くのが世界の果てでも、二人一緒なら淋しくないよ。 リボーンと一緒に泣いて笑って怒って、だから、僕もう淋しくないよ。 風が吹いても、リボーンがくれたマフラーが守ってくれるから、こんなにも暖かい。 オオカミと小猫 モノクロの世界で、たった一つの愛情 // ライオンの檻に小猫を入れると、 ライオンは食べる所か可愛がるんだそうです。 メモから加筆。 [戻る] |