俺には、すっっっごく可愛くて大好きな妹がいる。
別にシスコンだからそう見えるのではなくて、我が妹・京子は正統派美少女だ。
中学では「学園のアイドル」だったし(友人談)、高校に入学してから半年で告ってきた男子が二桁に(友人談)。
中学時代の俺は、友人達からの「沢田、妹紹介して!!」コールがうるさかったが、高校ではあまりない。美形率の高い知人達は「いずれ、大人になったら挨拶しに行くから」と、何故か、ものすごい真剣な顔で言われた。「それまで待ってろよ、ツナ!!」と言われた時に握られた手には驚いた。
彼らは、スキンシップが過剰なのだ。
そんな彼らを、京子はあまり好きではないらしい。
「ツッ君は、あんな人達と話しちゃダメだよ!」なんて言われた事があった。
兄の友達にヤキモチなんて、どこまで純粋で可愛いんだろう。
「ツッ君」
躊躇いがちに俺の部屋に入る妹は、やっぱりものすごく可愛い。まるで子リスのようだ。
俺の京子への愛の深さは、あの馬鹿親父でも敵うまい。最近ではエジプトにいるらしい。ピラミッドの写真が送られてきた。
「どうかした?京子」
いかんいかん。あの大嫌いな親父の笑顔も思い出してしまいそうになった。でも、本当にいらつく笑顔なんだよ。
「・・・・・・ツッ君?」
「ふぇ?」
顔に出ていたらしい。
いつも笑顔の彼女が不安そうに見ている。
「ツッ君、あのね・・・・」
どうしたのだろう。明るくて優しくて可愛い自慢の妹は、珍しく顔を真っ赤に俯いている。
「あのね、…ツッ君……つ」
「つ?」
「つ…付き合ってる……人いる、の?」
「誰に?」
「ツッ君に」
「へ?」
「ツッ君は、彼女いるの?」
「いやいや、いないよ。てか、いるはずありません」
俺が息切れしながら全否定すると、京子は少しためらいがちに口を開いた。
「じゃあ彼氏は?」
「いないよ!!…彼!??いーまーせん!!」
なんてことだ。
最愛の妹からのホモ疑惑。
やばい。
涙でてきそう。
「ねぇ、じゃあ、ツッ君」
「ん?」
「私の事、好き?」
「好きだよ!むしろ、愛してる!!」
京子の顔がぱぁっと明るくなった。
うん。やっぱり可愛いなぁ。京子の笑顔で自家発電できるかもしれない。
「私もね、ツッ君大好きだよ!愛してる!」
「うわぁ、ありがとう」
「だったら両想いだね!!」
「うん!!…」
あれ?
なんか、
変な言い回しをされたような・・・
まあ、可愛い妹はすごく幸せそうだし。
深く考えないようにしよう。
俺達はとりあえず、にこにこと笑いあった。
妹以上、恋人未満