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パラレル
ドール





「おめでとうございます。貴方は彼に選ばれたようですよ。」

 リボーンは言われた言葉に眉をひそめた。そして先程までこの店主と見ていた人形に目を向ける。
 すると閉じられていた瞼が開き、琥珀色の双眸が愛おしそうに俺に微笑んでいた。


 「プランツ・ドールが売られている。」
 この街にはそのような噂があった。
 プランツ・ドールとは言わば鑑賞用の人形、または人間だ。
 歌うプランツもいるらしいが、基本的に喋らず、ミルクくらいしか食べない。本物の少女のような大きさなので値段も高く、しかも衣装や食事だって最高級を用意しなければならない。
 そんな、ある意味理不尽な愛玩物である筈なのに金持ちに限らず、プランツドールを求める者が多いのには訳がある。
 プランツドールはとても美しいのだ。微笑まれれば囚われてしまうほどに。



「ったく、俺にどうしろってゆーんだ」

 俺は自宅に帰り、そのプランツドールに向き合った。なんだかんだ言いながらも、まるで催眠術でもかけられたように買ってしまったのだ。

「しかも、ヤローだしな」

 別にロリコンな訳じゃない。だが、あいにく男だって嫌いだ。どんなに見た目が良くても。
 俺の悪態をどうとったのかは解らないが、プランツドールはコテンと首を傾げた。その様子が余りに脳天気で、溜息をつく。
 俺が買い取ったプランツは、珍しい少年型をしている。だからなのか、見た目が周りのプランツドールよりも華美ではなく、そしてズボンを履いていたから目についた。それだけだったのに。

「……ったく、なんなんだよお前は」

 ふざけ半分、八つ当たり半分に、クシャクシャとプランツの髪を乱した。手入れされていただけあって、かなり触り心地がよかった。
 俺のこの行為をどう思ったのか、プランツはパァッと嬉しそうにした。俺は思わず手を止める。琥珀の瞳がキラキラと輝いている。スッと伸ばされた指は小さいが陶器のように白い。

「あ?」

 なんと、プランツが俺の髪をグシャグシャと掻き回し始めたのだ。自分の黒髪が視界の中で揺れ動く。
 何回か乱した後、頭の上の動きがピタリと止まった。満足したのかもしれない。

「ん、なんだよ」

 今度は袖をちょんと引っ張ってきた。見ると褒めてくれと言わんばかりに誇らしげに笑っていた。そして俺の髪と自分の髪を交互に指差す。

「……ああ、お揃いか」

 呟いた瞬間、華が咲いたようにプランツが笑った。俺もつられて笑っていた。

 ああ、今、選んでくれてありがとう、なんて思ってしまった。

 俺はとりあえず、コイツの為にミルクを温めてやろうと立ち上がった。



 

 

ドール Doll


 

//
 『観用少女』ぱろ。
 にしてはの残念な感じ。
 ツナ名前でてない。





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